2007 Fiscal Year Annual Research Report
児童虐待を防止する包括的社会制度の設計-社会の安全・安心のための政策提言-
Project/Area Number |
17510143
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Research Institution | National Institute of Science and Technology Policy |
Principal Investigator |
牧山 康志 National Institute of Science and Technology Policy, 第2調査研究グループ, 客員研究官 (50356284)
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Keywords | ガバナンス / 政策科学 / 社会福祉関係 / 児童虐待 / 安全安心 / 中間的専門機関 / ネットワーク / リスクマネジメント |
Research Abstract |
児童虐待は、しばしば家庭・育児という身近で普遍的な営みの中で生じる。虐待の発生要因には、社会環境、文化的背景・政治や社会制度構造が深くかかわり、さらに多様な個別的要因が交錯している。社会からの支援がなぜ届かずに当該の家庭が孤立するのか、虐待を生む大人のストレス要因は何か、社会は一人の子どもの親の肩代わりをどこまでできるのか、私たち社会において大人は「子ども」をどう位置づけ、対峙しているのか。虐待問題では、根本理念から眼前の虐待事例の解決まで、多局面での対応が必要となる。また、子どもを虐待から救い、一人の子どもが不利益を被ることなく引き受け手の社会によって適切な保護と育成の過程を一貫して受けることができる施策、社会のあり方が問われている。 公共政策の家庭内への積極的アプローチは一面において個別的快適を保障するプライバシーと対立し、虐持が疑われる児の救出では、子どもの生命・人権の保護と一般成人市民の権利主張との軋轢を生むことになる。こうした権利や施策における衝突は、国家レベルでの法制度に基づく合理的解消が必要になる。また、市町村と県レベルの児童相談所、さらに警察・学校や地域ネットワーク等で、情報を共有し、空間的・時間的連続性を保持しつつ協働するためには、規定のみではなく、法律の運用の局面において力を発揮する機構なくして実効性は得られない。すなわち、児童虐待の課題に継続的に一元的に取り組み、責任・権限をもって当該問題解決に主導的役割を発揮する中核的機関が必要である。さらに、リスクアセスメントを踏まえた高度の判断や虐侍者の更正、家族再生プログラムの実施では、現場や非専門家担当者のみでは手に余る場合もあり、対応には専門性と組織的・制度的な枠組みが必要となる。本研究では、これら課題の解となる統合的な制度・機関の姿を、ガバナンスの視点から「中間的専門機関」を核に検討し、取りまとめている。
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Research Products
(2 results)