2006 Fiscal Year Annual Research Report
広域震度分布の高精度シミュレーションに基づく関東直下の被害地震の震源モデル推定
Project/Area Number |
17510145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古村 孝志 東京大学, 地震研究所, 助教授 (80241404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 佳子 東京大学, 地震研究所, 助手 (30262083)
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Keywords | 安政江戸地震 / 明治東京地震 / 強震動 / 数値シミュレーション / 首都圏直下地震 / 異常震域 |
Research Abstract |
関東直下で発生した地震に見られる震度分布の異常(異常震域)を調査し、千葉県北西部の深さ60〜80kmの深さで発生する逆断層型の震源メカニズムを持つ地震において、埼玉〜東京〜横浜にかけての広い範囲で震度が大きくなることを明らかにした。表層地盤モデルと深部地殻・マントル(太平洋プレート、フイリッピン海プレートとこれに起因するマントルウエッジ)をモデル化した、地震波動伝播の2次元および3次元数値シミュレーションを実施し、異常震域がプレート内を地震波が東京〜横浜方向に良く伝播することにくわえて、千葉県直下の高減衰域(Low-Q)において短周期地震動の減衰がきわめて大きいことが原因であることを明らかにした。同時に、逆断層型の地震のS波放射特性がこの異常震域のパターンを強め、横ずれ断層型の地震では異常震域がよく見られないことも示すことができた。 本結果は、被害分布や、古文書から推定されている過去の関東の大地震の震度分布との対応から最適な震源モデル(深さ、マグニチュード、断層破壊方向、メカニズムなど)を推定するための重要な手がかりとなる。たとえば、1855年安政江戸地震や1894年明治東京地震は東京湾北部を震源とするM7クラスの地震であるとこれまで考えられているが、仮に震源が千葉県北西部の、フイリッピン海プレートと太平洋プレートが接する深さ70km程度の地震であったとしても、観測された震度分布の特徴を説明することができるため、これらの地震の震源の再考が必要になる。
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Research Products
(2 results)