2005 Fiscal Year Annual Research Report
強震動シミュレーションのための震源物理パラメータの推定の研究
Project/Area Number |
17510146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮武 隆 東京大学, 地震研究所, 助教授 (60126183)
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Keywords | 震源物理 / 強震動 |
Research Abstract |
本研究計画は(1)破壊エネルギー,(2)臨界滑り量という2つのパラメータに注目し,その分布の推定の研究を行うものである.今年度は,このうち(2)の臨界滑り量についての研究を行った. 研究手順は下記のとおりである. (1)動力学モデルによる数値シミュレーションによって断層運動の物理モデルを作成.この際に,破壊エネルギー,臨界滑り量は仮定した.計算の過程で,3次元食い違い差分格子を使った差分法で断層境界条件に工夫をして応力の計算精度を上げている. (2)上記動力学モデルによる地震波形を3次元差分法で計算した.その際,近地地震波形の計算には,波数離散化法を使っている. (3)上記地震波形を元に地震波形インバージョンを行い,断層面上の各点の「平均」すべり速度時間関数を得た. (4)上記の滑り速度時間関数から,臨界滑り量を推定するとともに,推定手順の中で,推定値がどのように遷移していくのか,誤差はどの部分が多く担っているか,改善方法はあるかなどについて検討した.この結果,臨界滑り量の推定値には,純粋に波形インバージョンだけによるものだけでなく,波形インバージョンにおける震源モデル化,波形データの前処理,Dc推定方法(ここではMikumo法)などにより誤差を生じること,特に震源のモデル化の影響が大きいことがわかった.具体的には,通常は無視されるか,簡便にしか扱われないsub-fault内部の破壊伝播をモデル化することが重要であることがわかった.この結果は,本年度,米国地球物理連合の国際学術誌Geophysical Research Lettersに掲載された.
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Research Products
(1 results)