2005 Fiscal Year Annual Research Report
合成開口レーダ(SAR)画像による広域・巨大災害の検出手法の開発
Project/Area Number |
17510155
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
松岡 昌志 独立行政法人防災科学技術研究所, 地震防災フロンティア研究センター, 研究員 (80242311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 文雄 千葉大学, 工学部, 教授 (50220322)
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Keywords | 自然災害 / 地震 / 合成開口レーダ / 人工衛星 / 防災 |
Research Abstract |
発展途上国などの大都市における大規模・広域災害においては、被害の全体像の把握が容易でない。そこで、本研究課題では、自然災害の中でも近い将来発生が危惧されているなど緊急の対応を要する大規模地震災害にも対応できるよう、合成開口レーダ(SAR)リモートセンシングによる広域での災害把握の実用化と応用化へ向けた取り組みとして、被害検出の汎用化と高精度化を目指す。以下に今年度の研究実績を具体的に示す。 1.画像データ収集と画像校正 過去の被害地震について、地震前後に被災地とその周辺を観測したSAR画像を多数入手した。レベル2のデータについては画像のデジタル値を後方散乱係数に、複素数データについては位相情報に変換した。 2.時系列の画像を利用した被害地域抽出手法の開発 2004年新潟県中越地震の前後に被災地を観測したRadarsat/Fine画像(地震前2シーン、地震後1シーン)について、マッチング処理を行い、地震前画像同士のペアからと地震前後の画像ペアからそれぞれ相関画像、コヒーレンス画像を作成した。さらに、小千谷市における建物被害の現地調査データとの重ね合わせから、建物の全壊率ごとに相関係数やコヒーレンス値の地震前後での変化を調べ、建物被害率と密接な関係にある指標として相関係数の差分(地震前同士-地震前後)が最適であることを分散分析により明らかにした。 要約すると、新潟県中越地震は兵庫県南部地震とは異なり、被害レベルが大きい建物が比較的少なく、その分布の広がりも小さいことから、SAR画像からみると被害地域と無被害地域の違いはそれほど大きくはない。したがって、定常状態(地震前)での後方散乱特性を把握した上で、地震後の画像の後方散乱特性の変化程度を評価することで、被害レベルの小さい地域についても検出できることがわかった。
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Research Products
(2 results)