2006 Fiscal Year Annual Research Report
合成開口レーダ(SAR)画像による広域・巨大災害の検出手法の開発
Project/Area Number |
17510155
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
松岡 昌志 独立行政法人防災科学技術研究所, 地震防災フロンティア研究センター, 研究員 (80242311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 文雄 千葉大学, 工学部, 教授 (50220322)
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Keywords | 自然災害 / 地震 / 合成開口レーダ / 人工衛星 / 防災 |
Research Abstract |
発展途上国などの大都市における大規模・広域災害においては、被害の全体像の把握が容易でない。そこで、本研究課題では、自然災害の中でも近い将来発生が危惧されているなど緊急の対応を要する大規模地震災害にも対応できるよう、合成開口レーダ(SAR)リモートセンシングによる広域での災害把握の実用化と応用化へ向けた取り組みとして、被害検出の汎用化と高精度化を目指す。以下に今年度の研究実績を具体的に示す。 1.時系列の画像を利用した被害地域抽出手法の被害地震への適用 2006年1月に我が国の人工衛星ALOS「だいち」が打ち上げられ、2006年5月27日のジャワ島中部地震の直後にも被災地を観測し、ALOS搭載センサのひとつであるLバンドSAR(PALSAR)によって良好な地震前後の画像が得られている。今年度は、地震前の2時期データ(2006年4月29日、同年5月16日撮影:画像aとb)と地震翌日のデータ(2006年5月28日撮影:画像c)を用いて、前年度までに開発した被害抽出手法を適用した。 2.被害抽出結果の定量化と可視化 昨年度までの新潟県中越地震の結果と今年度のジャワ島中部地震の結果を統合し、SAR画像から得られる指標(相関係数の差分)と建物全壊率との関係を検討し、SAR画像から建物被害の分布を近似的に推定する経験値を提案した。地震前後のALOS/PALSAR画像から算出した後方散乱係数差分(rdif)をみると、Bantul地域の南西から北東方向の地域にかけて値が小さい(地表変化が大きい)ピクセルが多く分布しており、抽出結果は現地調査による被害の傾向とよく対応する。さらに、新潟県中越地震での成果も含めたrdifと建物全壊率の相関関係から、sub-district単位での建物被害率分布を推定した。この分布は現地の被害統計データによる分布(全壊率や死者率)と良い対応を示すことから、SAR画像のみからでも建物全壊率の分布が近似的に推定できることがわかった。以上より、被害状況の収集が困難な地域や大規模災害などにおいて、効果的かつ短時間に被害の全体像を把握できる手法を開発できたと考えられる。
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Research Products
(5 results)