2006 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の全電子計算手法を統合した高精度分子動力学シミュレーション法の開発
Project/Area Number |
17510156
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
斎藤 稔 弘前大学, 理工学部, 教授 (60196011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 功 弘前大学, 理工学部, 講師 (60332491)
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Keywords | 蛋白質 / 原子電荷 / 分子動力学シミュレーション / 非経験的全電子計算 / 局在化軌道 / 疑似カノニカル分子軌道 / 力場パラメタ |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、バイオインフォマティクス分野の二つの主要な計算手法である蛋白質の分子動力学(MD)シミュレーションと蛋白質の非経験的全電子状態計算とを融合することによって、従来のMDシミュレーションの精度を高めることであった。具体的には、研究分担者が開発に加わっていた蛋白質の全電子状態計算プログラムProteinDFと、研究代表者が単独で開発したMDシミュレーションプログラムCOSMOS90とを統合することによって、蛋白質の全電子状態計算をMDシミュレーションの数千ステップ毎に行うことを目指していた。 平成18年度においては、まず、平成17年度に開発した局在化軌道に基づいたESP原子電荷を求める方法(ESPLOと呼ぶ)を、蛋白質の部分構造であるα-helixとβ-sheetに適用して、ESP原子電荷が精度よく計算できることを確認した。我々は、α-helixとβ-sheetとを、それぞれ幾つかの部分(フラグメントと呼ぶ)に分け、フラグメントを構成する局在化軌道(LO)からESP電荷を求めた。この方法を蛋白質に適用するときには、同様に蛋白質を幾つかのフラグメントに分割して、ESP電荷を求めることが可能である。したがって、蛋白質の原子電荷をより正確に求めるための方法を、具体的に提示したことになる。ただし、大きな蛋白質に実用化するためには、LO計算のアルゴリズムを現在の0(N^4)から少なくとも0(N^2)に高速化する必要がある。これは、今後の課題である。 次に、水中の小ペプチド(グリシン12残基)について、実際に、ProteinDFによるESP原子電荷の計算とそれを使ったCOSMOS90によるMDシミュレーションを行うことに成功した。ここで、12残基グリシンの電子状態計算を行う際に、周囲の水分子を外部点電荷として取り入れた。この方法を水中の蛋白質について適用することは、原理的に可能である。これらの計算手順は、まだ完全には自動化されていない。完全自動化と高速化が今後の課題として残った。
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Research Products
(1 results)