2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
保尊 隆享 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70135771)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 植物 / シロイヌナズナ / 物性 |
Research Abstract |
シロイヌナズナのゲノム機能解析に必要な胚軸の物性測定のための手法と条件について検討した。まず、現有の引っ張り試験機(TENSILON RTM-25)を用いて荷重-伸び解析法と応力緩和法による物性解析を試みた。しかし、シロイヌナズナ胚軸は他の植物試料に比べて非常に小さくて力学的強度が低く、通常の解析の数十分の1に相当する0.5g程度の荷重を用いて測定する必要があった。そのため、機械的なノイズや操作上のばらつきに起因する測定誤差が大きく、遺伝子機能の網羅的な解析のための条件となる少ない試料数での正確な測定は困難であることがわかった。そこで、現有機器の使用はあきらめ、本補助金とは別の予算を確保して、荷重計測精度が高い新鋭万能試験機(TENSILON RTE-1210)を新たに導入した。これにより、従来の測定方法と条件を適用した場合でも、測定に必要な試料数を半分以下に減らすことが可能になった。引っ張り速度や試料固定条件、あるいはクランプの選択などを通して、さらに少ない試料で安定した結果が得られるように引き続き検討している。 荷重-伸び解析法と応力緩和法は植物細胞壁物性の測定によく使われる方法であるが、従来は別々の試料について2つの方法を適用していた。網羅的な解析において植物試料を効率よく使用するため、同じ試料に両方法を連続的に適用するプログラムとインターフェイスを開発し、新規導入した試験機に適用した。その結果、30秒間という短時間の測定により、同一試料から、全コンプライアンス、粘性率、弾性率、最小緩和時間、応力緩和速度などの多くのパラメータを得ることが可能になった。測定プログラムはまだ完全ではなく、引き続き改良を続けているが、これを用いることにより物性によるシロイヌナズナのゲノム機能解析の見通しが立ったと言える。
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