2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510159
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
保尊 隆享 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70135771)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 植物 / シロイヌナズナ / 物性 |
Research Abstract |
昨年度に新規導入した万能引っ張り試験機を用いて、シロイヌナズナ胚軸の物性を安定的に測定できる条件を探索した。シロイヌナズナ胚軸は、他の植物試料に比べて非常に小さく力学的強度も低いが、メタノール固定時間を十分に取り、引っ張り速度を下げ、市販品の代わりに微小クリップを加工したクランプを用いることによって、誤差の少ない測定が可能になった。また、昨年度開発した荷重-伸び解析法と応力緩和法を連続的に適用するプログラムとインターフェイスを改良して、操作性を向上させた。以上のハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって、多数のシロイヌナズナ胚軸の物性を測定する基本的な条件がほぼ確立できた。 このような測定手法を適用して、細胞壁及び表層微小管の構造、構築、代謝、並びに機能に関わるいくつかのシロイヌナズナ変異体の胚軸の物性を、予備的に解析した。双子葉植物の物性の決定において重要な働きをしているエンド型キシログルカン転移/加水分解酵素(XTH)に関する変異体のうち、XTH31とXTH32のT-DNA挿入ノックアウト変異体及び両者の二重変異体では、胚軸の物性が野生型のそれとほぼ同程度であり、明瞭な違いが認められなかった。これに対して、XTH33の過剰発現体では、細胞壁伸展性の増加並びに細胞壁強度の低下が見いだされた。このような変異体の物性は、胚軸の成長速度の変化やキシログルカンのレベル、分子サイズ、及び代謝回転の程度とよく合致していた。ほぼ同様の結果が、表層微小管構造を破壊したシロイヌナズナ胚軸でも認められた。これらの結果より、本研究において開発した測定方法がシロイヌナズナの物性の網羅的な解析に有効であることが示された。
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Research Products
(1 results)