2006 Fiscal Year Annual Research Report
有用生物活性物質の合成を指向した芳香族化合物の有機電気化学的酸化反応
Project/Area Number |
17510182
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西山 繁 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20137988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 昌次郎 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (20266349)
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Keywords | フェノール酸化 / ユーリパミド / 抗MRSA / 高原子価ヨウ素 / タリウム塩 / ニトレニウムイオン |
Research Abstract |
申請者らは、これまでフェノール酸化を基盤として顕著な生物活性を有する天然物の生合成経路に基づく全合成とその関連物質における生物活性を評価してきた。特に、環状イソジチロシン類の一種と見なすことが出来る海洋生物由来のユーリパミド誘導体がMRSAに対するイミペネムの活性を増強することを見出したため、環状イソジチロシン類合成の安全かつ高収率化を目指して硝酸(III)タリウムによるフェノール酸化反応を検討した。その結果、ビス-ジハロゲン化フェノール基質の環化反応条件をほぼ定量的にまで最適化するとともに、電気化学的にタリウム(I)から(III)への酸化反応の条件を検討した。その結果、反応系中での酸化反応に成功し、毒性の高いタリウム(III)の直接取扱いを回避する方法を見出した。また、さらにこの成果は、抗腫瘍性環状ジアリールエーテル、ガレオン類の全合成に導くことが出来た。本研究において、基質中のハロゲン置換基を選択することで酸化反応の高収率化および選択的官能基導入を達成することが出来た。 フェノール酸化の知見を窒素原子に応用することで、ヨードベンゼンを電気化学的に酸化して高原子価ヨウ素化合物を発生させ、その効率的な酸化作用を見出すことが出来た。つづいて、この活性種を活用して調製したニトレニウムイオンを経由して、アザスピロ化合物およびキノリノン類の選択的合成法を開発した。これにより、芳香族置換基を選択することで反応の選択性を制御することが可能となった。この有用な中間体を駆使して、現在関連する生物活性天然物の合成を目指している。 有機電解反応を複数の反応に活用することで、環境低負荷型の多段階合成のモデルとしてイソジチロシンの全合成を達成した。この研究において、効率的な電解還元の手法を開発することが出来た。
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Research Products
(4 results)