2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗原タンパク質をペプチド化して行う等電点免疫測定法の開発
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17510183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志村 清仁 東京大学, 大学院工学系研究科, 客員助教授 (30130008)
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Keywords | 免疫測定法 / 等電点電気泳動 / キャピラリー / プリオンタンパク質 / 不溶性抗原 / ペプチド / ペプチド化 |
Research Abstract |
等電点免疫測定法は抗原タンパク質と蛍光標識抗体断片の複合体をマイクロ等電点電気泳動によって分離定量する方法である。本法は抗原を複合体の等電点の値によって同定して定量するため、標識抗体の非特異的結合や公差反応性による影響を受けることなく正確に定量できるという特長をもつ。また、マイクロ等電点電気泳動を用いるため、微量の試料について短時間に測定を完了できる。本法では、抗原試料は分子として可溶性である必要があるが、タンパク質の中には溶解性が悪く、凝集体を生成したり、不溶化するものも少なくない。このようなタンパク質もペプチドに断片化することによって溶解性が改善し、等電点免疫測定法を適用するのに適した分子に変換できる可能性が高いと考えられる。また、ペプチド化によって抗原試料の安定性が高まり、定量分析における再現性の向上が期待できる。 プリオンタンパク質は膜タンパク質で、その立体構造の以上がウシ海綿状脳症候群などのいわゆるプリオン病を引き起こすと考えられている。プリオンタンパク質の定量を目指して、組換えマウスプリオンタンパク質(rMoPrP)について、等電点免疫測定法を適用したところ、複合体の検出が困難であることを判明した。これは、rMoPrPの溶解性が悪いことが原因している。そこで、rMoPrPをペプチドに分解して等電点免疫測定法を適用した。トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、リシルエンドペプチダーゼなどによる酵素分解では測定に用いた抗体に対するエピトープを破壊してしまうことが明らかになったが、CNBr分解ではエピトープを破壊せずに溶解性を大幅に向上し、等電点電気泳動による複合体の検出定量が可能になった。CMBr分解の条件を検討したところ、1% CNBr,50℃,1 hで分解はほぼ完了することが判明した。また、10,000倍以上のウシ血清アルブミン存在下においても、CNBr分解はほぼ変わりなく進行し、分解したペプチドを等電点免疫測定法によって定量できることが明らかになった。また、60ngのrMoPrPにヒト血清20μLを添加した試料においても、CNBr分解は問題なく進行することが示された。これらの結果により、本法が不溶性タンパク質の免疫測定法としてたいへん有望であることを示すことができた。
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Research Products
(3 results)