2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム及びN型糖鎖構造解析を用いた癌転移関連たんぱく質の同定
Project/Area Number |
17510191
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Research Institution | Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases Osaka Prefectural Hospital Organization |
Principal Investigator |
宮本 泰豪 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター, 研究所, 総括研究員 (90322742)
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Keywords | 糖脂質 / 糖鎖 / 大腸癌 / 質量分析 |
Research Abstract |
昨年度までに確立した癌のN型糖鎖および酸性糖脂質の微量解析技術を用いて、実際のヒト大腸癌での糖鎖構造解析を実施した。 酸性糖脂質は、肝臓転移を伴った大腸癌症例3例の大腸癌原発部位、肝臓転移部位および正常大腸粘膜の構造解析を行った。癌組織では主要な22種類の酸性糖脂質を同定するとともに、個々のrelative ratioも明らかにした。それらは、硫酸付加されたもの(SM3)1種類、lacto-series (sialyl Le^a)1種類、6種類のganglio-seriesおよび14種類のneolacto-seriesの酸性糖脂質で構成されていた。癌特異抗原として知られているsialyl-Le^x, sialyl-Le^aなども検出された。ほとんどの糖鎖はすでに報告されているものであったが、2種類の新規のフコース含有糖鎖を見出すことができた。レーザーマイクロダイセクションを用いずに癌組織をそのままで解析した場合であっても、大腸正常粘膜とでは、酸性糖脂質の構造に差は認められた。しかし、レーザーマイクロダイセクション法を用いることにより、癌部位においては非還元末端へのシアル酸付加がα2-6結合で付加されたものの割合がα2-3で付加されものよりもはるかに多く、また、フコースがラクトサミン鎖のGlcNAcやgalactose結合したものが多く存在することが明らかになった。 N型糖鎖に関しては、レーザーマイクロダイセクションを用いない場合にも、大腸癌症例における癌原発部位と正常粘膜部位とでは糖鎖構造パターンにわずかな差は認められた。しかし、酸性糖脂質の場合と同様に、レーザーマイクロダイセクション法を用いることによってのみ、癌部において顕著に減少する7種類の糖鎖の存在が明らかになった。それらの構造的特徴としてbisecting GlcNAc構造を有する二本鎖型の糖鎖である点が挙げられた。
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Research Products
(2 results)