Research Abstract |
日本花の会結城農場と松前桜見本園に栽培されていた桜を主な観察対象として,新芽の分裂細胞を用いて,86分類群を対象に観察を行った。その結果,2n=16(二倍体)は,*アイセン,*アカシンジュ,アサギリ,*イベンシー,*イマイチキクザクラ,*ウスベニミヤマ,エイゲンジ,*エゾニシキ,オオヤマザクラ,*オンタケマメザクラ,カスミザクラ,*カンカン,カンザキオオシマ,カンザン,カンパニュロイデス,*クモガハタ,*クワジマザクラ,*ケンロクエンフユザクラ,コウカ,*コウフク,*コウホクザクラ,*コウラン,コケシミズ,コシオヤマ,*コチョウ,コトヒラ,*コハナヤエザクラ,*ササメユキ,*シキザキバンシ,シキザクラ,シズカ,シズカニオイ,シダレヤマザクラ,ジュウガツザクラ,ショウゲツ,*ショウジカンザシ,*シラキクカスミ,*シラキヌ,*シラホ,*シンランショウニンジュズカケザクラ,スイショウ,セイヨウミザクラ,タグイアラシ,*タマガキ,*テンニンフジ,*ハクアイヒガン,*ハクサンハタザクラ,*ハクチョウ,*ハクフゲンゾウ,*ハクボタン,ハナガサ,*ハナシホウ,*バンショウ,ヒウチダニキクザクラ,*ヒメノサワ,ヒヨドリザクラ,*ヒラノツクバネ,*ピンクウェーブ,*フウキ,フクザクラ,フゲンゾウ,*ヘイシチザクラ,ベニシグレ,ベニタマニシキ,ホソカワニオイ,マツマエ,マツマエオオシオ,*ヤエカンヒザクラ,*ヤエコトブキ,*ヤエベニオオシマ,ヤエムラサキザクラ,*ヤチヨ,*ユウガおよび*ユウバエカスミの74分類群であった。2n=24(三倍体)は*オオクサコヒガン,キクザクラ,*コンリンジシロタエ,*シラユキヒメ,*センネンジヒザクラ,*ハナカゴト,*ハナゾメイ,*ハナミヤコ,*ヤマトニシキおよび*ワカムシャザクラの10分類群あった。2n=32(四倍体)はウラボシザクラとホクホウの2分類群であった。*印のついた51品種については,染色体数が初めて明らかにされたサクラである。サクラの品種は多くが由来不明であるが,松前桜見本園には浅利氏により比較的最近作出された,両親が明らかなサトザクラが数多く栽培されている。今回の調査から八重咲きと倍数性との間には関係が見られず,むしろ八重咲きには二倍体が多いことが判った。二倍体が多いことが八重咲きどうしの交配を可能にし,松前において新品種が数多く作出されてきた理由のひとつであることが判明した。
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