Research Abstract |
日本花の会結城農場と松前桜見本園に栽培されていた桜を主な観察対象として,新芽の分裂細胞を用いて観察を行った。その結果,アオヤエザクラ,アタミヒザクラ,アラシヤマ,イズサイフクジシダレ,ウスガサネオオシマ,オトメザクラ,オネヤマヒガン,オフサザクラ,カミオカザクラ,カモノアケボノ,キノトザクラ,キンリュウザクラ,ケロクボハタザクラ,コバナヤエオオシマ,シダレヒガン,ショウドウザクラ,シンスミゾメイ,スミゾメイ,スミゾメニオイ,タカネオオヤマザクラ,チョウシュウビザクラ,ナガエヤエザクラ,ハタガサネオオシマ,ハヤザキヤエオオシマ,バンリコウ,ヒグラシ,ヒメミドリザクラ,フジカスミザクラ,フタガミザクラ,フナツ13ゴウ,プリンセスミヤビ,ベンドノ,ホウジュザクラ,ホザキビガンヤエ,ボンドC,マスヤマ,マツマエサンダンザキ,マナヅルザクラ,マハレブベンジュラ,ミシマフジミザクラ,ミドリキンキマメザクラ,ヤエノマメザクラ,ヤクオウジヤエ,ヤマコシザクラ,ヨウシュン,ワカキノザクラ,ワビヒトは2n=16(二倍体),アカツキナデン,オオハラナギサ,ケイオウザクラ,シュミッティー,ショウジョウジ,ホウキザクラは2n=24(三倍体),そしてパドスコドラータとホソカワベニは2n=32(四倍体)であることを初めて明らかにした。 この2年間の調査により,108品種について染色体数を明らかにすることができた。桜の花弁の大きさと倍数性との関係を調べたところ,染色体数の判明した花の大きな64品種のなかで三倍体は7品種,四倍体は1品種であり,花の大きさと倍数性は無関係であることが判った。菊咲き・八重咲きの品種のほとんどは二倍体であることから,重弁化には,劣性遺伝子が関与していると推測された。八重咲きの三倍体品種にはコウダイジ,シロタエ,タカサゴ,ホウキザクラ,ボタン,マツマエハヤザキ,ホクホウ,ベニユタカがあり,これらを母親にすることが可能ならば,三倍体の八重咲き品種が効率的に作出できると推定された。マザクラが片親になっていると推定されている品種(アマヤドリ,アリアケ,オオヂョウチン,コマツナギ,シロタエ,センリコウ,タイハク,ダイミン,ボタン,ワシノオ)は,いずれも三倍体であった。マザクラが三倍体であることから,これらの品種はマザクラのもつ三ゲノムのうち二ゲノムをもつ品種群であると推定される。
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