2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
唐 亮 横浜市立大学, 国際総合科学部, 準教授 (10257743)
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Keywords | 市民社会 / NGO / 外圧 / 政治参加 / 自立性 / 国際NGO / 民主化運動 / 政治改革 |
Research Abstract |
本研究は人権改善への外交圧力や民主化への支援活動を国際社会の対中関与政策(engagement policy)として捉え、それが中国の政治改革の過程で果たす役割を分析する。平成17年度の作業は分析枠組みの構築を中心とし、中国などの現地調査を実施し、政府関係者、市民団体に対してインタビューを行い、事例研究、実証分析に必要な資料収集に着手してきた。政府・外交のレベルでは、中国政府は一党支配体制の維持の立場から、ウクライナの「オレンジ革命」などの外部勢力の「関与」を強く警戒している。また、中国は外交の自律性を強く持っているために、かつての韓国、台湾のように外向圧力による体制転換の可能性がいまだに低い。しかし、グローバル化の進展および体制の自己改革の必要性によって、国際社会は側面支援の形で従来以上に中国の自由化の流れにかかわって来ていることが事実である。平成17年度の事例研究の対象に関しては、以下のような事実が判明されている。(1)村民委員会と社区居民委員会の直接選挙は「草の根」民主主義と呼ばれ、中国政府はそれを進めようとしている。西側諸国は政府および民間レベルで幹部の研修、専門的な助言、研究プロジェクトへの資金援助といった形で技術的な支援を提供している。(2)中国政府は民主化運動、大衆の抗議活動を厳しく規制しているが、体制内の政治参加を奨励し、その制度化を模索しようとしている。例えば、公聴会制度は1990年代初期において行政処罰法の施行によって導入されたが、価格法の実施によって世論の支持を拡大した。公共料金の改正は広範な消費者の利益と密接なかかわりを持つからである。現在、公聴会制度は環境保護などの行政分野、一部の立法過程に広がっている。公聴会制度の整備過程では、西側諸国、特にアメリカの経験が参考された。(3)経済発展によって、新中間層は拡大し、市民社会の形成が国内外の関心を集めている。中国政府は結社の自由に強い警戒心を持ち、様々な規制を強いているが、環境、人権などの分野では、NGOの数が増え、活動の範囲が拡大し、政府からの自律性が強まっている。この分野では、国際NGO、基金組織は中国のNGOを市民社会の重要構成として支援を強化し、連携を強めている。
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Research Products
(1 results)