2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510207
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
唐 亮 法政大学, 法学部, 教授 (10257743)
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Keywords | 声高な人権批判 / 圧力型の人権外交 / 対話型の人権外交 / 対中人権支援プロジェクト / 中国政府の人権政策 / 対中国人権関与の空間 / 対外依存度 / 政治社会の開放性 |
Research Abstract |
平成18年度は日本国内の学術調査および中国での現地調査を行い、「欧米諸国の人権外交」、「中国市民社会への国際支援」、「制度改革への技術的なサポート」などの3分野を中心とし、関連文献・データを収集・分析し、研究に必要な文献、データを収集・整理し、比較分析の枠組みを用いながら初歩的な分析を行った。その主な結論は、以下の諸点である。第1に、欧米諸国は1989年天安門事件以降の「対決型」「圧力型」の人権外交から「対話型」「支援型」の人権外交へと切り換え、現時点では司法改革、農村選挙改革およびNGOの発展を支援の重点としている。第2に、声高な人権批判、「圧力型」の人権外交は中国政府による個別的な人権侵害事件、特に深刻な人権違反に対してその是正、改善を求める「消極的な」人権保護活動であるが、「対話型」「支援型」の人権外交は中国政府の改革意向を支援する形で、制度改革の支援によって人権侵害の構造的な原因を断ち切り、権利と自由の拡大を全般的に進めていく「積極的な」人権支援活動である。第3に、中国のグローバル化の急速な進展によって、対中人権関与の主体は欧米諸国の政府から国際NGOおよび民間組織、関与の対象は中国政府から中国の民間組織および個人へと広がり、対中人権支援活動は多様化、重層化している。代表者は2006年度のアジア政経学会の全国大会で「国際社会の対中人権関与と中国の人権問題」を題名に研究成果を発表し、さらに修正を加えてシリーズ『現代アジア研究』第1巻『越境』の一章として平成19年度に慶応義塾大学出版会から出版される予定である。
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Research Products
(2 results)