2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
砂野 幸稔 熊本県立大学, 文学部, 教授 (60187797)
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Keywords | フランス語教育史 / 植民地教育史 / フランス植民地主義 / 同化政策 / 植民地エリート / 支配言語 / アラビア語 / イスラーム |
Research Abstract |
本年度は、植民地期の学校教育に関する文献調査を中心に行った。とくに未公刊の博士論文等の探索と所在確認を行い、そのうち複写等を行えない文献については、17年9月に直接フランス国立図書館において閲覧し、要点の記録を行った。 とくに次の二点の博士論文は、植民地期のフランス語教育が、「同化」のかけ声とは裏腹に、ごく一握りの都市エリートを対象にしたものにとどまっただけではなく、教育システムや教員養成の体制も不十分なままであり、内陸部では第二次世界大戦後にいたるまで満足な教育システムが存在しなかったことを、植民地期の行政文書をはじめとする各種の記録から明らかにするものであり、本研究にとっても重要な意味を持つ研究である。また、とくにBOUCHE論文は、アラビア語とイスラームが、フランス語教育の普及にとっての重要な障壁であり続けたことについても、詳細な報告を行っている。 BOUCHE, Denise 1974, L'Enseignement dans les territories francais de l'Afrique occidentale de 1817 a 1920: mission civilisatrice ou formation d'une elite?, T.I, T.II, These presentee a l'Universite de Paris I, Atelier Reproduction des theses Universite de Lille III, Lille.[BN,8-LK11-2471(A1)&(A2)] COLIN, Rolin, 1977, Systeme d'education et mutations socials - Continuite ete discontinuite dans les dynamiques socio-educatives - le cas due Senegal, T.I, T.II, These presentee a l'Universite de Paris V, le 17 decembre 1977, Atelier Reproduction des theses Universite de Lille III, Lille.[BN,8-R-86571(1)&(2)] 文献研究の面での今後の課題は、こうした植民地教育史に関する研究を、より広範な歴史的、社会的文脈の中で再度位置づけ直すことである。 さらに、18年度に行う予定であるセネガルにおける聞き取り調査を通して、植民地期から独立後にいたる時期に、セネガル人自身がそうした教育制度の下で、どのようにフランス語教育を受け入れ、それに反応したのかを、セネガル人側からの観点からとらえることを試み、セネガルにおけるフランス語の位置の変遷を、より包括的に記述することを目指す。
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Research Products
(2 results)