2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代初期英米における「産み育てる身体」の成立過程に関する基礎研究
Project/Area Number |
17510220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野々村 淑子 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (70301330)
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Keywords | 近代初期英国 / 女性預言者 / 女性説教者 / 身体観 / 産み育てる身体 / 女性 / 産育 / ジェンダー |
Research Abstract |
本年度は、17世紀の女性預言者の存在、位置、役割や影響関係などについて先行研究や、英国の図書館(ブリティッシュ・ライブラリー、フレンズ・ライブラリー:クェーカーの図書館、オックスフォード大学ボドリアン・ライブラリー)などにより調査を行った。 Phyllis Mack, Visionary Women : Ecstatic Prophecy in Seventeenth-Century England, 1992は、クェーカーを中心に、第五王国派、水平派、バプティスト、会衆派、ブラウン派などの革新派の宗派に属しながら、あるいは宗派とは独自に説教を行った女性たちの動きを整理している。クェーカー教徒による書物やパンフレット、手稿類、あるいは会合記録などはフレンズ・ライブラリーにおさめられている。他の人々については、ブリティッシュ・ライブラリーを中心に、各種図書館に所蔵されている。それらについて、今年度中にマイクロフィルムでの入手を行う予定であったが、九州大学図書館からの発注においてシステム上の問題が発生し、来年度に延期になってしまった。 近代初期に生きる人々の性差観は、我々とは異なり、流動的なものであったといわれる。selfの観念、さらにmindとbodyとの関係の観念自体が、所謂近代(科学)的なものに変容しつつある時期なのである。上記のような革新派のプロテスタントだけではなく、当時の占星術者、天文学者と親交のあった女性預言者なども存在した。本研究では、彼(女)らの身体観、死生観、人間観、宇宙観等から、女性の身体が「産み育てる身体」として表象されていくプロセスを、把握していくことが課題である(研究成果を参照)。 本年度は上記の支障から史料の解読には至らなかったが、諸先行研究や史料集(アンソロジー)などにおいて予備的な調査、分析、考察をした。来年度は、入手史料の解読のみならず、より詳細な史料の開拓に努めたい。
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Research Products
(1 results)