2007 Fiscal Year Annual Research Report
〈知覚の行為性〉に関する現象学的・相互作用主義的研究
Project/Area Number |
17520003
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小林 睦 Iwate University, 人文社会科学部, 准教授 (20292170)
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Keywords | 現象学 / 生態心理学 / 相互作用主義 / フッサール / ハイデガー / ギブソン / 知覚 / 行為性 |
Research Abstract |
本年度は、最終年度の作業として、これまでの研究を継続しつつ、現代的な知覚解釈の争点をさらに推し進めることを試みた。具体的には、知覚のもつ行為的側面に注目した二つの分析(現象学、生態心理学〉を比較検討し、主として以下の二つの作業を行なった。 (1)まず、前年度の研究成果を踏まえながら、ギブソンによる「知覚システム」概念と、ハイデガーによる「世界内存在」概念を、生態学的な観点から比較することを試みた。そのために、〈フォン・ユクスキュル-ハイデガー〉による知覚観の系譜と〈ウォールズ-ギブソン〉による知覚観の系譜を比較対照することを行なった。その上で、J.ミュラーの「特殊神経エネルギー説」にかんする解釈という観点から、両者の世界把握を比較した。そこで明らかになったのは、両者に共通するかにみえる反表象主義的な構えの背後には、まったく対照的な知覚解釈の前提が存在しているということである。 (2)次に、やはり前年度の研究成果を踏まえながら、知覚の行為性を強調するフッサールによる現象学的知覚論と、ギブソンによる生態学的心理学における理論構成の、異同を確認する作業を行なった。これらの知覚観を比較する作業を通じて、それぞれの立場が知覚を、〈運動〉として捉えるフッサールと、〈システム〉として捉えるギブソンの、行為強調的な特徴を明らかにすることが可能になったと思われる。
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Research Products
(4 results)