2006 Fiscal Year Annual Research Report
西洋中世における思想と表象の関係に関する総合的研究
Project/Area Number |
17520006
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山内 志朗 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30210321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細田 あや子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (00323949)
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Keywords | ビンゲンのヒルデガルト / 表象 / 西洋中世 / スコラ哲学 / 天使 / ドゥンス・スコトゥス / フランシスコ会 / 無限と有限 |
Research Abstract |
研究代表者である山内と分担者である細田は、月に2回定期的に学生を交えながら、研究を行ってきた。ビンゲンのヒルデガルトのテキスト、および表象について、当時のスコラ哲学の概念分析を交えながら、その思想の枠組みを取り出すことを両者の協力の下に行った。 この研究会においては、科研費の費用で収集できた文献の読解も行うことができ、極めて多くの有益な知見を得ることができた。 研究成果としては、細田が編者の一人となって、西洋と東洋における現世と異界との交錯を論じた論文集『異界の交錯』(全2巻、リトン、412頁+482頁)をまとめた。これはまさに思想をどの様に表象するのかを扱った研究成果であり、本課題の特筆すべき成果の一つである。この論文集には細田は上下間それぞれに寄稿し、山内は下巻に寄稿している。 細田はそれ以外に「洗礼の図像解釈--オットー朝写本挿絵を中心に」を発表した。 また、山内は、西洋中世における思想と表象の関係が、その後歴史的にどのように展開されていったのか、といった観点から、広い視点の下に研究成果をまとめた。単著として『<つまずき>のなかの哲学』(NHK出版、221頁)を刊行した。また単著論文として「ドゥンス・スコトゥスとイスラーム哲学--共通本性の系譜」を発表した。 細田の研究は、西洋中世におけるキリスト教美術を中心に、宗教思想が図像表象としてどのように表現されるかを一貫して追及しているが、本科研費によって、大きな研究成果をまとめることができたことは、成果として特筆すべきことである。 また、山内も昨年度における単行本の刊行に続いて、本年度も本課題に関連する単行本と論文を刊行した。山内の研究中心は、中世スコラ哲学であるが、それに限定されず、広い視点に及ぶ研究を展開し、多くの研究成果を発表することができた。
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Research Products
(5 results)