2006 Fiscal Year Annual Research Report
情報モラルにおける変容の研究-教育倫理学の観点から-
Project/Area Number |
17520015
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
越智 貢 広島大学, 大学院文学研究科, 教授 (00152512)
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Keywords | 情報モラル / 日常モラル / コミュニケーション / P4C |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の研究成果に基づき、全体の研究目標(情報モラルと日常モラルの連接の状況)をさらに踏み込んで論及した。ただし、三つの下位課題のうち第三の課題については、むしろ追求すべきでないと判断し(その主な理由は、学校のガイドラインが今日では教育委員会レベルで作成されたものを踏襲している場合が多く、それゆえガイドラインそのものが事例分析のための材料になりにくいことが判明した点にある)、1と2の課題を実践的な観点から掘り下げるべきとの結論に達した。 本年度は、日常世界と電子ネットウーク世界の連接傾向を高校生のコミュニケニション形態に即して検討することにした。とりわけ携帯電話を介したコミュニケーションスタイルは、目常レペルのそれとほぼ同質的であることが確かめられた。ただし、この場合、両コミュニケーションスタイルの同質性は因果的な関係によってもたらされると言うよりも、むしろ、それ以前に一体化されていた。それほどに、日常世界と電子ネットワークの世界との連接は進んでいる、と考えられてよい。 さらに、そうしたコミュニケーション状況を変えることが可能であるか否かを実践的に検討することにし、「P4C」(Philosophy for Children)と呼ばれる方法を参考にしつつ、コミュニケーションスタイルの変容(=改善)の方策を模索することにした。そのための授業プログラムを開発し、研究協力関係にある高校の授業の中で実際に試行した。その有効性については、現在、その成果が出つつある。 以上のように、全体の研究目標はほぼ達成されたと考えている。とりわけ若い世代において、情報モラルと日常モラルとは連接しており、場合によってはすでに同化していると言ってよいほどに区別されえない状況が確認された。こうした成果を踏まえて,今後、コミュニケーションスタイルの変容め方策を目指す授業プログラムの研究に進む予定である。
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Research Products
(4 results)