2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代ドイツの実践的自然哲学研究-新たな応用倫理学の構築をめざして-
Project/Area Number |
17520016
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山内 廣隆 Hiroshima University, 大学院・文学研究科, 教授 (20239841)
|
Keywords | 自然との和解 / 自然的法共同体 / 自然的共世界 / 具体倫理学 / 比較考量 / 相互承認 / 善き世界 / 全体論 |
Research Abstract |
本研究は、ハンス・ヨナスに始まり、マイヤー=アービッヒに受け継がれ、ルートヴィヒ・ジープなどへ拡大していった、ドイツ実践的自然哲学の研究を目的としている。一昨年にマイヤー=アービッヒの『自然との和解への道』の翻訳書を、昨年にジープの「具体倫理学」を『ジープ応用倫理学』という署名でそれぞれ出版した。本年度はそうした仕事を基盤にして、アービッヒとジープのドイツ実践的自然哲学の解明を目指した。その解明の仕方は大きく二つに区分できる。 1.両哲学の西洋哲学史における位置づけ。この仕事は、主として『環境倫理の新展開』(ナカニシヤ出版)を通じて行った。この著作で両哲学を、スピノザやシェリング哲学の発展系として位置づける試みを行った。また、ジープの哲学をヘーゲル哲学との関係の中で捉えようと試み、ジープの哲学を「承認論」の観点から論じた。そのなかで、ジープがヘーゲルおよびジープ自身の承認論を修正していることを明らかにできた。この点については、雑誌「政治哲学」で論じた。 2.両哲学の個々の解明。ジープ実践哲学の理解のためには、我々が『ジープ応用倫理学』として出版した大部の著作の解明が必要である。そのためにひとつの共同研究を試みた。それがジープに関するシンポジウムである。その成果は雑誌『ぷらくしす』で明らかにしているが、いくつかの観点、例えばジープの全体論をどう理解するかなどの点でまだまだ解明の余地が残されていることが明らかになった。 以上のことから、ドイツ実践的自然哲学の研究の基盤は整ったと言えるであろう。これからは、両哲学をより詳細に検討していく必要がある。
|
Research Products
(4 results)