2007 Fiscal Year Annual Research Report
分析哲学の時間論を手がかりにした時間様相(過去・現在・未来)の解明
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17520022
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊佐敷 隆弘 University of Miyazaki, 教育文化学部, 准教授 (50274767)
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Keywords | 時間 / 現在 / 現実性 / 反実仮想 / フィクション / 因果 / 決定論 / 未来 |
Research Abstract |
今年度は,主に,「現在」概念の解明に向けて「現実性」概念に関する検討を,また,「未来」概念の解明に向けて決定論に関する検討を,行なった。 論文「反実仮想とフィクション-実在する物個体をめぐって」において,「実在する物個体が反実仮想に必ず現れるのに対し,フィクションにはまったく現れない」と主張した。物個体の細部が反実仮想において確定しているのに対しフィクションでは不確定である。変更明示の原則が反実仮想にあるのに対しフィクションにはない。性質間の含意関係は両者にあるがフィクションにおいてはルーズである。実在する人物や場所の名前がフィクションへ登場することが可能であるのは,フィクションの持つ「細部の不確定性」「変更明示の不要性」という特徴の故である。反実仮想は,実在する物個体が持っている性質を変更性質と固定性質に分けることによって,当該物個体が現実に持っている性質や関係に関する主張を行なう。他方,フィクションのポイントは架空の物個体からなる世界についてあたかも現実であるかのごとく物語ることにある。結局,フィクションに登場する物個体はせいぜい実在の物個体をモデルとするキャラクターである。さらに,この論文の結論の先には,「現実性の方が可能性よりも基礎的な概念である」「現在概念の方が未来概念よりも基礎的な概念である」という見通しがある。 発表「因果と決定論」において,「自然法則は,背景条件(即ち,産出条件の現存と妨害条件の不在)抜きでは,未来に向かって因果の鎖を形成できるほど結果を一通りに決定する力を持たない。また,そのような力は自然法則にとって必要ではない。要するに,自然法則から因果的決定論は帰結しない」と主張した。決定論とは,「過去と同様,未来は確定している」という主張であるが,確定の根拠に応じて「因果的決定論」「神学的決定論」「論理的決定論」の3種の決定論がある。本発表では因果的決定論を扱った。論理的決定論に関しては昨年度に論文「テイラーの運命論について」で検討した。いずれにおいても,「決定論は十分に証明されていない」という否定的結論が得られた。決定論に関するこれらの検討は未来論の一部として行なったものである。
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Research Products
(4 results)