2005 Fiscal Year Annual Research Report
大乗仏教瑜伽行派の唯識観が外界を否定するものではなく実践理論であることの解明
Project/Area Number |
17520043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐久間 秀範 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (90225839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 基 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (00272120)
吉水 千鶴子 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (10361297)
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Keywords | 大乗仏教 / 瑜伽行派 / 唯識観 / 外界否定論 / 実践理論 / 教義理論 / インド / 中国 |
Research Abstract |
今年度は研究の最も基礎となるデーターの入力作業を中心に研究を進めた。具体的には『大乗荘厳経論』の偈頌、世親釈、無性釈、安慧釈のうち、第9章(菩提品)、第11章(述求品)、第18章(菩提分品)の膨大なテキストの入力を、当該分野を専門とする信頼のおける大学院生に依頼して入力を行った。偈頌と世親釈に現存するサンスクリット語テキストおよび漢訳テキストに関しては終了する一方で、全体に亘って現存するチベット語テキストについては北京版とデルゲ版の校訂を残して90%近くの入力を終えることができた。第9章と第11章はこのテキストの中では特に有名かつ重要な章であるが、すでに作業の過程で従来の研究からは見られなかった新たな視点も少しずつ報告され、研究テーマとして、また今後の研究者の育成に期待が持てるところである。さらにこれまであまり注目されてこなかった第18章(菩提分品)については、その分量が膨大であるにもかかわらず、入力作業をほぼ終えることができ、データーベース化できそうな勢いが見られる。これに加えて、研究代表者佐久間は大乗仏教の理論にはゾロアスター教を生んだインドからメソポタミアに至る地域の宗教や思想、および原始キリスト教を生み育てたエジプトからパレスチナ至る地域性等を含めた地域との情報交換が必要だという視点から、エジプト・カイロでの国際学会およびカイロ大学、アイン・シャムス大学との交流に参加した。分担者小野と吉水はオーストリアのウィーンで開催された第4回国際ダルマキールティ学会に参加し、吉水は研究発表をした。 来年度は対照テキストを形あるものにし、形を整えたあるいは整えつつあるテキストを資料として、仏教関係の国際学会に参加し、各研究者との情報交換にも積極的に参加していきたいと考えている。
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Research Products
(5 results)