2007 Fiscal Year Annual Research Report
アタルヴァ・ヴェーダ・パイッパラーダ・サンヒター第十巻の校訂研究
Project/Area Number |
17520048
|
Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
土山 泰弘 Saitama Institute of Technology, 人間社会学部, 教授 (30348297)
|
Keywords | ヴェーダ / アタルヴァ・ヴェーダ / パイッパラーダ・サンヒター / 古代インド / 王権 / 祭式 / 写本 / 文献学 |
Research Abstract |
1、論文"On the meaning of the Word rastra:PS 10.4"を公表した。この論文はパイッパラーダ・サンヒター10.4の主題であるrastraの語について、それが王(部族長)と諸部族の連合を指示し、諸部族の王の集会であるsamitiがrastraの現実的な基盤として機能していたことを指摘して、初期ヴェーダの王権の一面を明らかにしようとしたものである。従来「王国」「王権」として抽象的に理解されてきたrastraの内容を、文献の性格と当時の社会状況をふまえて、より具体的に明らかにしようとした。 2、「パイッパラーダ・サンヒターの正書法」と題して学会発表をおこなった。カシミールとオリッサの二つの系統に分岐したパイッパラーダ・サンヒター写本の伝承は、ともに紀元後800-1000年頃グジャラートに伝承されていた写本に起源することが明らかになっており、この原写本の復元が、パイッパラーダ・サンヒター研究の主要なテーマのひとつになっている。本発表は、このテーマについて正書法に注目して検討を加えた。すなわち、実際の写本において規範性を欠き、同一写本内部でも一貫性を欠くところの正書法のいくつかの用例をとりあげて、古代インドのプラーティシャーキア(音韻規則の書)の記述との比較および諸類型への分類を通じて、写本が伝承の過程で変容をこうむったサンディ正書法を原写本のレベルまで回復しようとした。これらを含む正書法についての検討内容は研究成果報告書に反映される。
|
Research Products
(2 results)