2006 Fiscal Year Annual Research Report
グプタ朝期におけるアビダルマ教学とヴァスバンドゥの教義解釈研究
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17520052
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| Research Institution | Koyasan University |
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Principal Investigator |
室寺 義仁 高野山大学, 文学部, 教授 (00190942)
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| Keywords | 仏教学 / 印度哲学 |
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| Research Abstract |
本研究代表者は、サンスクリット文学の黄金期を迎えるグプタ朝期において、サンスクリット仏教文化圏で展開する伝統的アビダルマ教学と教義解釈の研究を遂行中である。研究対象は、主として、当時の仏教思想界を代表する学匠であるヴァスバンドゥ(ca.400)の諸著作である。当該研究課題にかかわる研究成果として、まず「経部-初期Sautrantika-」と題する論考を公表し(『高野山大学論叢』第39巻、2004年)、近時の「経量部(Sautrantika)」研究に対して新たな観点から根本的な問いかけを行った。本格的研究として、初年度、ヴァスバンドゥの主著たる『阿毘達磨倶舎論』に表れる「経部」〔真諦・玄奘に共通する漢訳語。一方、「経量部」の語は荻原雲来に始まる和訳語〕の人々が主張する諸見解について、加藤純章(『経量部の研究』1988年)が検証したサンガバドラ(ヴァスバンドゥと同世代の後輩)作『順正理論』との比較考察を踏まえ、先行諸研究では十分には検討されて来なかった、漢訳だけで伝わるアビダルマ教学の注解論書である『毘婆沙』3本(大正Nos.1545-1547)との比較吟味を行った。成果の一部は、「『阿毘達磨倶舎論』における‘'utsutra'」(『印度學佛教學研究』第54巻第2号、2006年)と題し公にした。次年度(平成18年度)は、加えて、代表的大乗経典である『華厳経』「十地品」に対する現存する唯一の論、ヴァスバンドゥ作『十地経論』を参照しつつ、「金鉱石の比喩」解釈について分析を行った。成果の一部を、『望月海淑博士喜寿記念法華経と大乗経典の研究』に公表した。また、9月に高野山大学で開催された国際密教学術大会(ICEBS)において、華厳経研究パネルでパート発表(英文)を行った。なお、本研究遂行の一環として、京都大学人文科学研究所における「真諦研究」会に参加し、『倶舎論』の漢訳初訳者でもある真諦を取り巻く5・6世紀の中国仏教界について多くの知見を得つつある。
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Research Products
(1 results)
