2005 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国における改革派認識論の成立と展開に関する研究
Project/Area Number |
17520061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
三宅 威仁 同志社大学, 神学部, 助教授 (60268109)
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Keywords | 宗教哲学 / キリスト教思想 / アメリカ研究 / 改革派認識論 / 有神論 / ディフィーター / 神義論 / 自由意志 |
Research Abstract |
改革派認識論の主要な目的は有神論的信念の合理的受容可能性を弁護することにある。信念(即ち、真として信ぜられている命題)の合理的受容可能性を打ち破る条件のことを「ディフィーター」と呼ぶが、改革派認識論は、有神論的信念に対してディフィーターとなりかねない問題点の一つひとつに答えていかなければならない。平成17年度は、保守的キリスト教信仰に対するディフィーターと、それらに対する改革派認識論の応答について考察した。キリスト教信仰に対するディフィーターとは、例えば聖書の歴史批判的研究、ポストモダニズム、宗教的多元主義などであるが、最大の論争点となるのはこの世界における悪や苦難の存在である。改革派認識論は特に「悪の論理的問題」と「悪の証拠的/確率論的問題」を取り上げる。 「悪の論理的問題」とは、「キリスト者の信じている『神は全能である』といった命題は『この世界に悪が存在する』という命題と矛盾しており、論理的に共立不可能である」という批判である。これに対し、プランティンガらは「自由意志による弁護論」を展開した。その核心は「道徳上の悪を含んだ世界を創造することなしに、道徳上の善を含んだ世界を創造することは、神の力の及ぶ範囲内にはなかった」という主張が可能であると示すことにある。 「悪の証拠的/確率論的問題」とは、「この世界に悪が存在するという事実および悪の質・量は、有神論にとって不利な証拠となり、キリスト教的信念の真である確率を著しく減ずる」という疑義である。これに対し、改革派認識論者は「神義論」を構築するのではなく、「弁護論」に徹することによって有神論を弁護している。 なお、研究成果は下記雑誌論文だけでなく、2005年9月23日に関西学院大学で開催された日本基督教学会第53回学術大会においても発表した。
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Research Products
(1 results)