2006 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国における改革派認識論の成立と展開に関する研究
Project/Area Number |
17520061
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
三宅 威仁 同志社大学, 神学部, 助教授 (60268109)
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Keywords | 宗教哲学 / キリスト教思想 / アメリカ研究 / 改革派認識論 / 有神論 / ディフィーター / 神義論 / 悪 |
Research Abstract |
改革派認識論の主要な目的は有神論的信念の合理的受容可能性を弁護することにある。平成18年度も、まず「ディフィーター」(信念、即ち真として信ぜられている命題、の合理的受容可能性を打ち破る条件のこと)に対する改革派認識論の応答について考察した。下記雑誌論文として発表した「改革派認識論と悪の証拠的/確率論的問題」においては、「悪の証拠的/確率論的問題」を「この世界に実在する正当化され得ない悪が、神の存在にとって不利な証拠となり、有神論的諸信念の真である確率を著しく減ずる」と論じるタイプと「有神論とは共立不可能な他の仮説の方がこの世界における悪の有様をよりよく説明する。これは有神論を捨てて後者の仮説を採るべき理由になる」と主張するものの2種に分類し、改革派認識論が前者に対しては「神と人間の間には認識的距離が開き過ぎているので、悪を正当化する善を人間は必ずしも認識し得ない」と、後者に対しては「人間の認知構造は各人各様であるため、命題や仮説の認識的確率は認識者によって異なる」と応じることを明らかにした。その他のディフィーターとしては宗教的多元主義を取り上げ、複数の宗教が併存する状況に対して改革派認識論が独自の立場から「排他主義」を唱えることを論文に纏めつつある。 次に、研究の焦点を「保証」(単なる信念を知識にまで高めるもの)に移し、改革派認識論が外在主義的機能主義の立場を取ることを明らかにしつつある。この立場は認識論の最新の研究を踏まえたものであると同時に、保証の源泉として人間の認識能力の設計者(神)を想定するところが保守的キリスト教信仰に適合的である。
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Research Products
(1 results)