2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本近代版画の海外紹介とその国際的評価に関する研究-昭和初期から占領期まで-
Project/Area Number |
17520089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
桑原 規子 聖徳大学, 人文学部, 講師 (90364976)
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Keywords | 美術史 / 日本美術 / 近代絵画 / 国際情報交換 / アメリカ:イギリス:オーストラリア |
Research Abstract |
昭和戦前期から占領期にかけての日本近代版画の海外紹介とその国際的評価を明らかにするという目的のもと、「I 昭和戦前期の海外日本版画展覧会に関する研究」と「II 占領期におけるアメリカ人コレクターの研究」の二つのテーマに沿って調査研究を行った。以下、今年度、得られた成果についてテーマ別に記述する。 1.「昭和戦前期の海外日本版画展覧会に関する研究」については、昭和戦前期に海外で行われた版画関係の展覧会目録収集と出品作品の一覧表作成に着手した。その結果、新たに、日本版画協会主催海外巡回展覧会(アーリントン画廊・ロンドン)目録、オリンピック芸術競技展覧会目録(ベルリン)、国際文化振興会主催仏印現代日本画展覧会目録(ベトナム)を発見、入手することができたので、これまでに収集した目録もあわせて、出品作品のデータベース化を開始した。展覧会の評価については、国内の雑誌・新聞記事を中心に国内での資料収集を行ったが、時間的制約のため海外での調査はできなかった。なお、仏印現代日本画展覧会については論文を執筆済み、せりか書房から共著の形で出版予定である。 2.「占領期におけるアメリカ人コレクターの研究」については、まずアメリカ人コレクターが執筆した書籍及び記事の収集、日本の版画家たちが書き残した資料収集を国内で行い、両者の交流の概要を捉えたのち、ハワイ大学のスタットラー文書の調査、ホノルル美術館のミッチェナー・コレクションの調査を行った。その結果、占領期のコレクターと版画家との交流の実態、アメリカ人コレクターたちが日本の近代版画の海外紹介に果たした役割の一部が明らかになってきた。なお、今年度の研究で、スタットラー、ミッチェナー以外のコレクターに関する資料収集を行う必要性があることが判明したので、来年度も海外での調査を続行する予定である。
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