2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岸 文和 同志社大学, 文学部, 教授 (30177810)
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Keywords | 絵画行為 / 言語行為 / メディア / 視覚イメージ / 画像 |
Research Abstract |
視覚イメージ(画像)は、視覚的コミュニケーションのためのメディアとして、さまざまな機能を担ってきた。本研究の課題は、視覚イメージが担う5つの機能--指示的/表出的/指令的/メタ絵画的/美的機能--を、コミュニケーション行為の観点から再検討することにある。この課題を解決するために、本研究は、言語行為論の理論的枠組みを援用することによって、絵画行為--視覚イメージを一定のコンテクストにおいて使用(制作/受容)すること--の多様性を概観した上で、その行為論的な構造--視覚イメージが帯びる特定の形式的特徴と行為の意図の連関--を分析し、当の絵画行為を公共的/制度的な出来事として成立させている規則体系を明示することを試みる。 平成17年度は、J.サールの『言語行為論--言語哲学への試論--』などを手がかりに、本研究の原理的な諸問題を解決することを試みた。具体的には、"The Pragmatics of Visual Images-a Study Referring to Ukiyo-e"(京都大学COE「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」国際シンポジウム報告書)において、次のことを明らかにした。第1に、言語行為論が析出した言語行為の構造連関(発語行為/命題行為/発話内行為/発話媒介行為)が、視覚イメージにも適用しうこと。第2に、言語行為論が明らかにした発話内行為の5分類(主張型/表出型/指令型/拘束型/宣言型)のうち少なくとも3類型が、視覚イメージにも適用しうること。第3に、発話内行為の構成的規則(指示行為規則/述語行為規則/命題内容規則/予備規則/誠実性規則/本質規則)が、視覚イメージにも適用可能であること。
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Research Products
(4 results)