2005 Fiscal Year Annual Research Report
志賀直哉を中心とする奈良の文学空間の形成についての研究
Project/Area Number |
17520113
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
弦巻 克二 奈良女子大学, 文学部, 教授 (40217394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 仁子 奈良女子大学, 文学部, 講師 (90243352)
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Keywords | 志賀直哉 / 池田小菊 / 奈良 |
Research Abstract |
本研究は、志賀直哉を中心とする高畑周辺に在住した文学者たちの作り上げた文学空間の消長と、志賀に師事した奈良女子大学ゆかりの作家、池田小菊についての検討考察を二つの眼目とする。本年度は、奈良女子大学記念館一般公開に伴う、「特別展示 池田小菊の奈良 志賀直哉に師事した女性教育者」(2005.4.29-5.5)を催し、これまでの調査で知りえた事柄を奈良という地域や人々と深く関わらせて展示し、成果の発表の場とすると同時に、新たな情報発掘の契機とすることができた。展示の企画段階で調査した有田市文化福祉センター寄託の池田小菊関連資料は、志賀直哉の全集未収録の書簡を含み、志賀研究においても、また、池田小菊研究においても、興味深いものであった。有田市文化福祉センター寄託資料のうち、書簡類は、翻刻し、弦巻克二・吉川仁子「池田小菊関連書簡-志賀直哉未発表書簡を含めて-」(『叙説』2006)に詳しく紹介した。これらの書簡類は、戦争前後の、池田小菊が作家として活動した時期のものが主で、今年度翻刻を進めている小菊の日記類とあわせ読むことで、小菊の当時の文筆活動、また、志賀の書籍の出版も手がけた全国書房と小菊との関わりも窺い知ることができる。池田小菊の原稿、草稿、日記、メモ類の調査、奈良在住の志賀門下の人々の調査は、まだ途中の段階であるが、これらの精査により、志賀全集で未定となっている事項のいくつかは確定できる見通しである。小菊についての調査をすすめることが志賀の空白を埋めることにつながるのである。
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Research Products
(1 results)