2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520129
|
Research Institution | Waseda Uniyersity |
Principal Investigator |
中島 国彦 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00063785)
|
Keywords | 日本文学 近代文学 / 美学・美術史 |
Research Abstract |
1「風景表象」概念の整理 平成17年度においては、「風景表象」概念の明確化を心掛けたが、18年度においては、そうした諸説を整理しつつ、更なる概念規定を試みることとした。すぐさまその点のみで論文化出来ないが、各論の執筆の基盤として生かしたいと考えている。 2梶井基次郎における「風景表象」 2006年6月に、1泊で梶井の作品『城のある町にて』の背景となった三重県松阪に調査旅行を実施した。梶井のノートに出てくる風景や建物などを特定しつつ、注釈的な調査を行ったが、地元の方々、さらに本居宣長記念館の協力により、新事実も収集した。論文化を急ぎたい。 3堀辰雄における「風景表象」 昨年に引き続き、堀の奈良・大和体験を検討している。2006年12月に奈良調査を試み、これまでの研究の確認をした。また、風景の表象を幅広く収集するように努めた。前年のクローデルとの関係を考える補助線となるであろう。 4水野葉舟における「風景表象」 今回、日本近代文学館所蔵の葉舟日記を調査する機会に恵まれて、それの翻刻作業にもあたった。鍬入れ的な作業であり、これからも継続する必要があるが、葉舟の「風景表象」は、近代に風景観の変遷において、興味深い視点を多数提出してくれていると思う。 5「風景表象」概念の普及 17年度の東京大学での講義に引き続き、早稲田大学大学院文学研究科の「比較文学」の授業において、この「風景表象」のテーマを取り上げて、講義を継続した。成果は、近いうちに著書の形にまとめたいと考えている。
|
Research Products
(3 results)