2006 Fiscal Year Annual Research Report
野郎歌舞伎の演技・演出-「与論十五夜踊り」と新出の文献・絵画資料による研究-
Project/Area Number |
17520136
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
武井 協三 国文学研究資料館, 文学形成研究系, 教授 (60105567)
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Keywords | 野郎歌舞伎 / 与論十五夜踊り / 奴ことば / 藩邸記録 / 歌舞伎遊楽図屏風 / 与論町誌 / 歌舞伎評判記 / 歌舞伎番付 |
Research Abstract |
昨年度は「与論十五夜踊り」の現地調査を実施し、ビデオによる記録を作成するとともに文献その他の諸資料を収集した。本年度はこれらを分析研究するとともに、各地の関係資料所蔵機関の資料調査を実施した。予定していた与那国・多良間の調査は、現地の都合で実施を見合わせざるを得ないことになった。 ビデオによる「与論十五夜踊り」の分析は「与論町誌」の記録などと合わせて進めることによって、現在上演されている「狂言」の欠落部分の復元を試みた。5月・9月に大阪府立中之島図書館、9月・11月・12月に佐渡市鳥越文庫、2月に京都立総合資料館、10月に広島市立中央図書館の資料の調査を実施した。歌舞伎評判記、歌舞伎番付、観劇記録等などを調査したが、いずれも資料の残存が僅少な野郎歌舞伎時代の演技・演出を、後期の資料によって補うことができることを証するものであることが判明した。また、11月には国立文楽劇場において野郎歌舞伎の演技・演出の参考となる文楽を調査した。10月には静岡県コンベンションセンターで、近世演劇研究者と情報交換を行った。 4月に実地調査した今治市河野美術館所蔵の『歌舞伎遊楽図屏風』は、これら文献資料に記録される野郎歌舞伎の実態を、絵画によって視覚的に補うもので、当時の演技・演出の分析・解明を大きく前進させるものであった。 また、岡山大学附属図書館所蔵の岡山藩池田家文書が本研究に資する重要な資料であるとの情報を得たため、これの予備調査を開始した。
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