2008 Fiscal Year Annual Research Report
野郎歌舞伎の演技・演出-「与論十五夜踊り」と新出の文献・絵画資料による研究-
Project/Area Number |
17520136
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
武井 協三 National Institute of Japanese Literature, 文学形成研究系, 教授 (60105567)
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Keywords | 野郎歌舞伎 / 与論十五夜踊り / 藩政記録 / 『家譜』 / 組踊り / ゆうなん三郎兵衛 / 笑い / 越後・佐渡 |
Research Abstract |
平成20年度は、引き続き『与論町誌』掲載の「十五夜踊り」の詞章と現地撮影したビデオの比較研究を実施し、琉球の近世資料『家譜』の芸能上演記録を板谷徹「『家譜』に見られる芸能資料2(江戸上り)」(沖縄県立芸術大学『ムーサ』9号)によって分析研究した。また大阪府立中之島図書館所蔵資料、佐渡市鳥越文庫所蔵資料の調査を進めるとともに、研究の最終年度として4年間のとりまとめを実施し、研究成果の発表を行った。 6月28日に国際日本文化研究センター共同研究会「18世紀日本の文化状況と国際環境」において「初期歌舞伎と沖縄の組踊り」として、8月30日に佐渡市鳥越文蔵講座において「歌舞伎と越後・佐渡」として、それぞれ研究成果の一部を口頭発表した。また9月21日にイタリアで開催された第12回EAJS(ヨーロッパ日本研究学会)において、「ゆうなん三郎兵衛」の物真似芸を考察対象とした、野郎歌舞伎の演技・演出研究に基づく「17世紀歌舞伎の〈笑い〉から現代の〈笑い〉へ」という研究発表を、シンポジウムの基調報告として行い、総合的な成果発表の端緒とした(国文学研究資料館「近世文学の表現技法〈見立て・やつし〉の総合研究」プロジェクト報告書4号に概要を掲載)。この研究発表は、ノーベル文学賞を受賞したイタリアの劇作家ダリオ・フォーの翻訳者に注目され、次年度のローマにおけるシンポジウムへの参加を打診された。 「与論十五夜踊り」は予想以上の型の崩れがあったため、なお分析研究を残すことになったが、沖縄県立芸術大学教授板谷徹や元日本学術振興会特別研究員鈴木博子の協力のもとに新出の文献資料に注目することが出来たこと、さらに〈笑い〉という視点を導入することによって、野郎歌舞伎の演技・演出研究を進展させ得たことは研究の大きな成果であった。
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Research Products
(2 results)