2005 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀イギリスにおけるポルノグラフィー誕生に関する歴史的研究
Project/Area Number |
17520141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
吉田 直希 小樽商科大学, 言語センター, 助教授 (90261396)
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Keywords | イギリス / アメリカ / 文学 / ポルノグラフィ / 国際情報交換 / 18世紀 |
Research Abstract |
イギリス文学・文化研究会における研究発表「秘め事の流通-18世紀におけるポルノグラフィの誕生-」(2003.11)および研究論文"Preposterous Pornography : Gender Instability in Memoirs of a Woman of Pleasure"(2004.9)で提起したポスト・コロニアル批評の問題系を具体的な作品解釈に応用した。その際、最近のジェンダー研究におけるオリジナル/コピーの関係性についての議論を出発点とし、裏世界の深奥に潜むイギリス帝国、植民地の存在を明らかにすることを主たる目的とした。成果としては、ジョン・ゲイの犯罪文学における野蛮/洗練の取り扱いを精査することにより、作品の表面には現れない、グローバル・システムにおけるロンドンの黒人問題の一端を明らかにできた。また、サミュエル・ジョンソンの『サヴェッジ伝』『英語辞典』等の新たな解釈にも取り組んだ。特に当時の「母性」論と旅行記との関係に着目し、18世紀後半のトランスナショナルなジェンダー・階級・国家表象を上記作品を中心に確認した。なお研究の成果は"Whose Public Sphere Is It? : A Singular Form of Globalization in Johnson's Plan and Life of Savage"として2006年度American Society for Eighteenth Century Studies年次大会(於:モントリオール)で発表した。また2005年9月には共同研究者John Bender教授との研究会、および年次大会発表準備のため、渡米しスタンフォード大学にて集中的に研究を行った。
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