2007 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀イギリスにおけるポルノグラフィー誕生に関する歴史的研究
Project/Area Number |
17520141
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
吉田 直希 Otaru University of Commerce, 言語センター, 准教授 (90261396)
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Keywords | 英文学 / ジェンダー / セクシュアリティ / ポスト・コロニアル |
Research Abstract |
当該年度の研究では、ポスト・ジェンダー/セクシュアリティ論のための理論的枠組みを構築するために多くの時間を費やした。今年度は最終年度であるため、これまでの研究成果をまとめ、雑誌、紀要、ジャーナルに論文として発表し、あわせて研究成果報告の論集を作成した。その際、ジュディス・バトラーのジェンダー・パフォーマティヴの意味を絵画・小説の両面から考察しつつ、18世紀エロティカの多様性を近代的主体概念の変遷史の流れの中で分析した。19世紀の概念である「ポルノグラフィ」が18世紀イギリス公共圏の多層構造とどのような関係にあったのかを新歴史主義的に検討し、American Society for Eighteenth Century Studies年次大会(2007年3月於:アトランタ)においてチェアーを務めたパネル"Global Eighteenth Century"での研究成果をさらに発展させた。対象資料としては1.The Analysis of Beauty 2.Hogarth's Graphic Works 3.Pamela 4.Shamela 5.Fanny Hill 6.Great News from Hellを取り上げた。 研究の中心はあくまで小説の勃興期におけるジェンダー/セクシュアリティの表象をめぐる議論であったが、近年この分野で大きな成果を挙げつつあるポスト・コロニアル批評の動向も視野にいれて研究を進めた。まず18世紀エロティカ研究にグローバルな視点を導入する方法を研究論文の形でまとめた。その後、昨年に引き続き、9月にスタンフォード大学において共同研究を実施し、ハーバーマスの公共性概念を議論の主要テーマとし、John Bender教授との意見交換を行った。さらに、年度末には、American Society for Eighteenth Century Studies年次大会(於:ポートランド)で研究総括の口頭発表を行った。
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Research Products
(6 results)