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2008 Fiscal Year Annual Research Report

ヴィクトリア朝生体解剖論争の文化研究

Research Project

Project/Area Number 17520150
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

丹治 愛  The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90133686)

Keywordsヴィクトリア朝 / 生体解剖論争 / 生体解剖 / 動物愛護 / H・G・ウェルズ / モロー博士の島 / ヴィクトリア朝の科学
Research Abstract

本研究の目的は、1870年代なかばから急に活発化しはじめた生体解剖論争をとおして見えてくるヴィクトリア朝文化の諸相のうち、科学の唯物論化、動物愛護文化の確立と、それにともなう唯物論的な科学への批判、さらに、そのような批判を前にした科学者側の反応を、『モロー博士の島』を中心とするいくつかの文学作品と、この時代の歴史資料とを往還しながら記述するところにある。
研究の最終年度にあたる本年は、『英語青年』に1年半(平成15年10月から平成17年3月まで)にわたって連載した関連論文と、本研究のなかで過去3年間に書きためた論文を基盤にして、1冊の本として出版可能なかたちに原稿をつくりあげることをめざした。
生体解剖をめぐるその論争のなかから浮かびあがってくるのは、ヴィクトリア朝をとおして科学がめざましい発展を示しながら唯物論化していったこと、生体解剖とはそのような科学の典型としての生理学が生み出した新しい科学的方法だったということ、その一方で18世紀後半以降、福音主義などの影響とともに動物愛護の文化が発展していたこと、生体解剖論争とはそのような科学と動物愛護の文化が真っ向から衝突した事件であったということである。
結論ともては、生体解剖論争のなかにわれわれは、宗教性を離れて没道徳的に真実を追求しはじめた唯物論的な科学にたいするヴィクトリア朝人の不安と不信を見てとることができるということである。文学作品と歴史資料を往還する文化研究的な方法をとおして、ヴィクトリア朝の人びとの内面の一端を明らかにできたと確信している。出版にまでもっていきたい。

  • Research Products

    (4 results)

All 2009 2008

All Journal Article (3 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 『ハワーズ・エンド』の文化研究的読解都市退化論と「土地に還れ」運動2009

    • Author(s)
      丹治愛
    • Journal Title

      『英米小説の読み方』林文代編(岩波書店)

      Pages: 115-134

  • [Journal Article] 『ハワーズ・エンド』の文化研究的読解への不満貧困と帝国主義をめぐる人間主義的問い2009

    • Author(s)
      丹治愛
    • Journal Title

      『英米小説の読み方』林文代編(岩波書店)

      Pages: 135-155

  • [Journal Article] 進歩のなかの退化H・G・ウェルズの、SF、あるいは後期ヴィクトリア朝の光と影2008

    • Author(s)
      丹治愛
    • Journal Title

      『夜想』ヴィクトリアン特集

      Pages: 150-157

  • [Presentation] 英語を教えること、英文学を教えること2008

    • Author(s)
      丹治愛ほか3名
    • Organizer
      日本英文学会第80回全国大会
    • Place of Presentation
      広島大学
    • Year and Date
      2008-05-25

URL: 

Published: 2010-06-11   Modified: 2016-04-21  

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