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2005 Fiscal Year Annual Research Report

女性的他者を抑圧する西洋的特性

Research Project

Project/Area Number 17520159
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

越智 和弘  名古屋大学, 大学院・国際言語文化研究科, 教授 (60121381)

Keywordsロマン主義 / 資本主義 / ドイツ神秘主義 / プロテスタンティズム / ナチズム / フェティシズム / フロイト / 均質化とグローバル化
Research Abstract

西洋が世界を凌駕する文化に今日なりえた真の理由を、女性の消去という観点から解明する本研究の一つのまとめを、著書『女性を消去する文化』として出版できたことが、本年度最大の成果としてあげられる。
ただこの研究が一つのまとまりを見せ始めた段階で浮上したことは、本研究が一貫してとらえる、女性を消去したうえで、そこに新たな女性像を投影し均質化することで男性的社会への吸収を促すという、西洋特有の二重構造が、じつは西洋全般に均一に存在するものではなく、とりわけドイツを中心に強く見られるものではないか、という疑いであった。
そのため本研究一年目において、ドイツ神秘主義からドイツ近代にいたる重要な思想家の著書を体系づけて揃えられたことは、今後の研究の大きな助けになるものと思う。
女性の消去という独特なメカニズムを、真に要請したのは資本主義だと考えられる。その観点から、西洋近代における資本主義の発展に新たな目を向けることは不可欠となる。とりわけ本研究からは、個人の経済的自由や法の前での平等といった基本的人権が、それ自体が普遍的に尊いのではなく、じつは資本主義が自己の発展を可能ならしめるために生み出したものではなかったのか、という疑問が不可避的に生まれる。そしてさらにこの視点は、そもそも女性の消去が徹底して実践された地域だとみなせるドイツが、同時にまた、ロマン主義からナチズムにいたる歴史的流れに見られるように、個人の自由や平等といった価値への強い抵抗を示してきたという謎の解明を促すことになる。これが今後の研究の方向を必然的に規定することになろう。
現代人がいまだ明確に説明しつくせないこうした難題を、敢えて文学的に表現しようとした画期的な小説として位置づけられるドイツ現代作家、ペーター・シュナイダーの『ぼくのお父さん』を翻訳することにも本年力を注いだ。
こうした成果を踏まえ、すべてを均質化し世界をグローバル化しつつある西洋的資本の流れに抵抗したドイツ的精神の研究を次年度以降さらに深めていきたいと考える。

  • Research Products

    (1 results)

All 2005

All Book (1 results)

  • [Book] 女性を消去する文化2005

    • Author(s)
      越智和弘
    • Total Pages
      408
    • Publisher
      鳥影社
    • Description
      「研究成果報告書概要(和文)」より

URL: 

Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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