2005 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ文学における銃の表象とアメリカの神話の関係に関する研究
Project/Area Number |
17520167
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
渡邉 克昭 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (10182908)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貴志 雅之 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (30195226)
花岡 秀 関西学院大学, 文学部, 教授 (40172944)
辻本 庸子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (70217313)
中 良子 京都産業大学, 文化学部, 助教授 (50237195)
|
Keywords | 銃 / 歴史 / 表象 / 女性 / 大衆文化 / 南部神話 / メディア / 公民権運動 |
Research Abstract |
渡邉は、合衆国における銃の表象を、時代区分ごとに、文学テクストのみならず広範なメディアを視野に入れつつ抽出し、通時的に俯瞰する作業を統括した。また、Michaels著The Shape of the Signifier (2004)の書評を『英文学研究』に掲載し、銃のメディア性を映像メディアと絡め、テクストの物質性との関係において考察した。貴志は、第43回日本アメリカ文学会全国大会シンポジアでの研究を発展させ、銃の記号性を他者の人種的歴史(再)表象メディアとしての身体論と連動して論考を再構築し、2006年8月シカゴで開催のATHSの20周年記念大会での研究発表に応募。同大会での発表が決定した。また、現代アメリカ演劇の歴史表象演劇戦略論を9月に刊行予定。花岡は、銃と南部神話の絡みをアメリカ南部文学に探るにあたって、銃と不可分の関係にある酒の密造・密売に着目し、大衆文化と文学の関わりを検証した。銃とともに小説やカントリー・ソングなどでしばしば取り上げられ、南部大衆文化の一角を賑わしてきたこのような素材が、Faulknerの作品にどのように取り込まれ、描かれているのかを考察した。辻本は、銃が作品の要となっている女性作家Cather、Glasgowの作品考察をすすめた。さらに女性が銃をもつことが引き起こす文化的ディスコースを検分する作業にも着手し、映画Monster、Chicagoに関連する資料を集めた。現実の殺人事件が舞台、映画へと媒体変容し、その中でどのような銃神話を構築しているのかを考察中。中は、人種間の緊張関係を映し出す銃の表象性を解明する手がかりとして、公民権運動の時代に注目し、Baldwinに焦点をあてた。The Fire Next Timeなどのエッセイを通して、彼の人種問題についての見解を明らかにし、その思想が、Blues for Mister Charlieにおける銃表象にいかに反映されているかを分析した。
|