2006 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ文学における銃の表象とアメリカの神話の関係に関する研究
Project/Area Number |
17520167
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
渡邉 克昭 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (10182908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貴志 雅之 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (30195226)
花岡 秀 関西学院大学, 文学部, 教授 (40172944)
辻本 庸子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (70217313)
中 良子 京都産業大学, 文化学部, 教授 (50237195)
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Keywords | 銃 / アメリカ南部 / 亡霊 / ジェンダー / 帝国 / 歴史表象 / メディア / 神話 |
Research Abstract |
花岡は、アメリカ南部文学に描かれた銃の様々な表象を、南部にまつわる神話との関わりから考察した。具体的にはFaulknerの小説を対象にして、南部スモールタウンという枠組の中で、銃が南部神話の創造と崩壊にどのように関わったのかを明らかにしようとした。辻本は、本研究を共同出版する為の仕上げの作業を行った。ニキド・サン・ファルの展覧会を鑑賞するとともに、アニー・オークレイの裁判記録もアメリカのオークレイ記念館から取り寄せた。その他に、女性と銃に関する映画を多数、鑑賞しつつ、最終的に今回の論文は3本の小説を中心にすることに決定し、執筆を行った。中は、公民権運動時代の銃表象と南部神話の関わりについて、Emmett Till殺害事件とMedgar Evers暗殺事件に注目し、事件に関するドキュメンタリー、事件を題材に書かれたBaldwinとWeltyの文学作品、そして南部における銃と暴力の伝統を論じる60年代の南部論において探ることで、南部神話の変容を物語る銃表象を分析・考察した。貴志は、銃の記号性を他者の人種的歴史(再)表象から照射した研究"Semiotics of Empire Domination : Guns and the Other on the American Stage"をシカゴでの国際学会で発表。さらに同研究を「帝国支配の記号学-舞台の上の銃と他者」として中間報告書にまとめた。また、「現代演劇の冒険-テーマ・パークのリンカーン」を、共著『二〇世紀アメリカ文学を学ぶ人のために』に発表した。渡邉は、同著においてEricksonの『黒い時計の旅』に関するメタフィクショナルな亡霊論を論じ、銃とペンの共犯・背反関係を論じるともに、本科研の中間報告書の第五章「蘇る標的-デリーロ文学の弾道」を執筆し、銃とメディアの共振性を解明した。
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