2007 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ文学における銃の表象とアメリカの神話の関係に関する研究
Project/Area Number |
17520167
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡邉 克昭 Osaka University, 大学院・言語文化研究科, 教授 (10182908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貴志 雅之 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 教授 (30195226)
花岡 秀 関西学院大学, 文学部, 教授 (40172944)
辻本 庸子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (70217313)
中 良子 京都産業大学, 文化学部, 教授 (50237195)
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Keywords | 銃 / アメリカ / 神話 / 歴史表象 / 南部 / メディア / ジェンダー / 政治学 |
Research Abstract |
渡邉は、第46回日本アメリカ文学会全国大会シンポジアム「共振する/交錯するメディアとアメリカ文学」において、「メディアの亡霊-9.11と「灰」のエクリチュール」と題する発表を行うとともに、アメリカの時空の征服を表象する格好の隠喩でもあった銃が、それ自身のうちにいかに神話を突き崩すさまざまな矛盾や揺らぎを孕み、アメリカ人の欲望や不安や恐怖が、いかに銃の表象にパリンプセスト的に多重に擦り込まれているかを引き続き検証した。貴志は、同性愛者のヴェトナム従軍時の身体損傷に表象される銃の記号性を照射しつつ、冷戦からポスト冷戦に至る歴史表象と演劇的政治学を論じた研究「20世紀アメリカ演劇の政治学-冷戦・クイア・ポスト冷戦」を第51回日本アメリカ文学会関西支部大会フォーラム「20世紀アメリカ文学の政治学」で発表した。また、「原作者ベラスコの人と作品」を『プッチーニ 西部の娘』(共著)で発表。花岡は、アメリカ南部小説に描かれた銃の多様な表象を考察する際にきわめて重要な関わりを持つ、禁酒法下の南部におけるアルコール(密造酒)の密造・密売の実態を探り、そこから生み出されたアルコールに関する神話と銃を巡る神話との関わりを考察する基礎作業を行った。辻本は、これまでの枠をもう少し広げ、アメリカ日系文学、カナダ文学における銃の表象のありかたも考察した。さらに3月にはアメリカでシンポに参加。サンフランシスコにおける日系学者と懇談し、アメリカ西海岸における移民の歴史的変遷と銃に関する情報を集めた。中は、昨年度に引き続き、アメリカ南部における、銃を含めた暴力と人種、帝国の問題と南部神話との関わりを研究テーマとし、ユードラ・ウェルティの作品において検証した。現在、『デルタの結婚式』を取り上げて考察し、南部プランテーション神話を再考する論文を執筆中である。
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Research Products
(8 results)