2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520169
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
門田 守 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (50204516)
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Keywords | 英米文学 / ロマン派 / ロマン主義 / バイロン / ホイッグ / リベラリズム / 革命 / オリエント |
Research Abstract |
1 バイロンを取り巻くホイッグ党を中心としたイギリス政治体制について研究した。穏健派リーダーCharles James Foxの著作を研究し、同党が「人民の友」、「平和主義」、「自由主義」を政治的理念として標榜していることがわかった。Byronの盟友John Cam Hobhouseの政治的パンフレットも研究した。彼がアメリカ革命をその起源を名誉革命に求めつつ賞讃しながらも、民衆への普通選挙権付与を拒絶するという矛盾的態度を示していることがわかった。急進派のホイッグたちFrancis Burdett、John Cartwright、Thomas Erskineらも人民の権利拡大を目指した革命の達成には消極的であることがわかった。このような民衆の友であるが、民衆を信用しない傾向がByronにもあることが、彼の国会処女演説や手紙や言行録の中でも確認された。つまり、ホイッグ・リベラリズムとは民主主義と貴族主義の融合を特徴とし、民衆への保護と支配願望を同時に満たす本質的に矛盾を孕んだ政治的イデオロギーなのであった。 2 ロマン派のオリエント作品に見られる政治性とByronのそれを比較検討した。James Morier、Samuel Rogers、Walter Savage Landor、Thomas Moore、Robert Southey、Bulwer-Lyttonらの作品とByronの詩を比較研究する中で、バイロンが彼らよりも遙かにコスモポリタニズムに貫かれたオリエント観をもっていることがわかった。Byronはオリエントを舞台とした革命詩においてコスモポリタンな視点を保持しつつも、一貫して革命を頓挫させ続けている。このことにより、彼が民主革命を求めつつも貴族支配の維持を求めるホイッグ・リベラリズムの潮流の中にいることが明確になった。
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Research Products
(1 results)