2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヴィクトリア朝における女性の召使いの研究:その衣服、生活、文学表象をめぐって
Project/Area Number |
17520179
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
西村 美保 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (60284452)
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Keywords | ヴィクトリア朝文化 / ヴィクトリア朝文学 / ファッション / ジェンダー / イギリス / 民族史 |
Research Abstract |
平成18年度の本研究の研究実績は以下のとおりである。 平成18年、6月には国際服飾学会(於:学習院女子大学)において「Arthur MunbyとHannah Cullwickの事例に見るファッションと変装」と題して研究発表を行った。ヴィクトリア朝に生きたupper middle class出身の紳士、Arthur Munbyと雑役女中、Hannah Cullwickの関係性を事例として扱い、Hannahのファッションと変装に焦点を当て、ファッションとアイデンティティの問題、Munbyのファッションに対する矛盾した態度、二人の関係性においてファッションが果たした役割等を考察した。 平成17年11月に日本ヴィクトリア朝文化研究学会において階級とジェンダーの観点から上述のアーサー・マンビーとハンナ・カルウィックの事例について発表を行ったが、平成18年にはその発表原稿をもとに論文を執筆した。タイトルは「ヴィクトリア朝のある紳士と雑役女中のロマンス-手とブーツのフェティシズム-」であり、11月発行の学会誌、『ヴィクトリア朝文化研究』第4号に掲載された。 その後、連合王国における出張の準備として、連合王国の幾つかの博物館と女性の召使いの衣服について所蔵品の有無を尋ねたり、アポイントメントを取る作業に追われた。平成19年1月末から2月中旬にかけ約2週間出張を行い、マンチェスターのギャラリー・オブ・イングリッシュ・コスチューム(プラット・ホール)、ダラムにあるビーミッシュ・ミュージアム、ロンドンにあるガナズベリー・パーク・ミュージアムなどで、学芸員の協力のもと、研究対象であるヴィクトリア朝の女性の召使いに関連する所蔵品の調査と資料収集を行った。 帰国後、出張中に撮影した写真とデータの整理を行い、召使いの衣服について関連文献との照合を行う一方で、ヴィクトリア朝における女性の召使いの生活や実態、また、文学テクストにおける召使いの表象について、これまでの研究をまとめ、本研究の報告書を執筆した。
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