2007 Fiscal Year Annual Research Report
西洋古典文学における間テクスト解釈理論に基づく実証的作品論研究
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17520186
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大芝 芳弘 Tokyo Metropolitan University, 都市教養学部人文・社会系, 教授 (70185247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 好則 国際基督教大学, 教養学部・人文科学科, 上級准教授 (50295458)
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Keywords | 西洋古典 / 文芸理論 / 間テクスト解釈理論 / 文体論 / 叙述技法 |
Research Abstract |
最終年度に当たる本年度においては、前年度より継続して、本研究の主要な研究対象として予備的に選定された作品について、文献学的基礎作業に加えて、先行作品との比較の観点から総合的に作品分析を行った。具体的にはテオクリトスとウェルギリウスの『牧歌』、ホメーロスの『オデュッセイア』とウェルギリウスの『アエネーイス』、エウリーピデースとセネカの『ポイニッサイ』などを取り上げた。これらについては、注釈書および従来の作品論研究を調査して先行研究の動向を把握しつつ、間テクスト解釈理論を応用して、主な手本となった作品との比較ばかりではなく、従来の研究では見過ごされてきた様々な先行テクスト(同一作者による他の作品や当該作品自体の別の箇所をも含む)との多様なレベルにおける影響関係や創意工夫を明らかにすることに努めた。即ち,各作品を措辞・語法、韻律、叙述技法、文学上のトポス、文体論的特徴、作品構成等の面から、先行作品がそれをもとにして作られた作品において如何なる改変を経て用いられているかなどを詳細に観察した。それと並行して、佐野は主としてホメーロスとソローンのエレゲイア詩およびアリストパネースに関して、大芝は主としてカトゥッルスとホラーティウスに関して、間テクスト解釈理論を援用した検討と考察を進めた。その成果の一部は別掲の論考の形にまとめられた。これらを含めて、すでに前年度までに公表した論考とも併せて本研究全体の成果となる論文5点をまとめ、研究成果報告書として公表した。最後に、研究全体を総括的に回顧・反省し、さらに将来の研究課題に向けた検討を行った。
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