2005 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス児童文学におけるアングロ・インディアンの子ども:その表象の系譜
Project/Area Number |
17520190
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
川端 有子 愛知県立大学, 外国語学部英米学科, 助教授 (80224830)
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Keywords | イギリス:インド / 児童文学 / アングロインディアン / ポストコロニアル研究 / 文化変容 |
Research Abstract |
十九世紀から二十世紀のイギリスの児童文学-雑誌読み物、宣教文学、冒険小説、家庭小説など-における、アングロ・インディアン(在印英国人)の子ども像を抽出し、イギリスと植民地インドの歴史的関係のコンテクストにおいて、二つの文化の狭間に宙吊りにされた子どもたちの文化変容の過程、そしてその経験がより広い文化現象のなかにどう位置づけられるかを探るという目的のうち、基本的資料の収集と整理を行った。 大英図書館において、古典といわれる児童文学から、宗教出版物、雑誌の大衆的読み物、イギリスだけでなくインドのイギリス人社会に流布していた作品群、実際にインドで暮らしていたイギリス人の経験談を大英図書館にて調査、研究した。国内では、白百合女子大学の図書館、梅花女子大学の蔵書から、十八〜十九世紀の福音主義児童文学作家の作品を調査した。また、古書店を通じて購入したアングロ・インディアン作家の作品や研究書などの資料を分析。アングロ・インディアンのイギリスにおける不安定な地位、とりわけ子どもの経験、その時代的推移を虚構、手記の双方から明らかにした。この結果は、作品論として論文を一本発表したが、大きな視座での展開と総括は次年度の重点目となる。 2005年8月、ダブリンのトリニティカレッジで開催された国際児童文学研究学会にて、バーネットの『秘密の花園』とノートンの『床下の小人たち』を、<アングロ・インディアンの子ども>という視点で比較検討した口頭発表を行い、およそ100年の隔たりを経た二作品について、イギリス・インド関係の文学への反映と子ども像、その役割の変化について報告。この結果は英語論文としてまとめ、すでに審査を経て、2006年夏のChildren's Literature in Educationに掲載されることが決定している。
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Research Products
(1 results)