2005 Fiscal Year Annual Research Report
文化芸術論としてのフランス現代思想の可能性-現代アートの解読と批判へ向けて
Project/Area Number |
17520205
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
酒井 健 法政大学, 文学部, 教授 (70205706)
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Keywords | バタイユ / 現代思想 / 現代芸術 / キュビスム / シュルレアリスム / ピカソ / ガウディ / セザンヌ |
Research Abstract |
本研究は、20世紀のフランス現代思想とくに学際的な幅広さを持つジョルジュ・バタイユの思想を、文化芸術論(文化全般との関わりのなかで芸術を考察する研究)の場に導入して、西洋現代アートの野心と限界を明示することを主たる目的にした。具体的には、1930年代から50年代の現代アートの初期の流れに注目するが、それに先立つ芸術の動き、すなわちセザンヌの風景画、ピカソのキュビスム絵画、カンディンスキーの抽象画、アントニオ・ガウディの建築などにも留意して、現代アート誕生の問題を深く掘り下げることをめざした。研究実績としてはまず2005年8月にフランスとスペインに出張し、フランスのパリ・ポンピドゥーセンターではシュルレアリスム,さらにダダイスムの実作に触れ関係資料を入手し、またスペインではピカソ美術館、ガウディ資料館で実作あるいは草稿,デッサンに触れ、貴重な資料も入手した。その成果は活字として雑誌『風の旅人』の15号,16号,18号に発表した。またさらに2005年12月には、現代芸術と現代思想の関係についてフランスのボルドー大学文学部が主催する国際シンポジウムに参加し、バタイユの芸術論,肉体論を中心に発表をおこなった。その発表原稿は2006年12月に同大学から活字論文として公刊される予定である。また日本においては法政大学の言語・文化センターの紀要『言語と文化』にバタイユの唯物論を文化芸術論の立場から読み直す論文(正確にはその前半部分)を発表した。そして雑誌『児童心理』には西洋近代の思想家と芸術家の生き方を論じて、研究成果を広く教育の分野へも導入した。
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Research Products
(6 results)