2006 Fiscal Year Annual Research Report
文化芸術論としてのフランス現代思想の可能性-現代アートの解読と批判へ向けて
Project/Area Number |
17520205
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
酒井 健 法政大学, 文学部, 教授 (70205706)
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Keywords | 芸術 / 現代思想 / バタイユ / ピカソ / クレー / マッタ / シュルレアリスム / 文化論 |
Research Abstract |
1.本研究の目的は、20世紀のフランス現代思想とくに学際的な幅広さを持つジョルジュ・バタイユの思想を、文化芸術論(芸術を文化全般との関わりのなかで考察する研究)の場に導入して、西洋現代アートの野心と限界を明示することにある。 2.今年度の研究としてバタイユの思想のとくに死のテーマ、および唯物論のテーマに注目し、この二つのテーマがいかに近代文明への批判力を持つか、そして芸術論を文化という大きなスケールで新に問い直す契機を与えるかという点を考察した。 3.具体的な実績としては、平成18年5月に法政哲学会の大会で死のテーマをめぐってバタイユ論を口頭にて発表したこと、およびその活字論文を法政哲学会の紀要に掲載させる道すじをつけたこと(現在初校の段階)である。また唯物論については昨年フランスのボルドーでの国際学会の発表を大会報告書のなかに掲載させる道すじをつけたこと(現在、校正を終え、4月の刊行を待っている段階)である。 4.これらの成果を文化芸術論へ展開させる試みとしては、ピカソ、クレー、マッタの現代アートを批判的に吟味し、その成果を雑誌『夙の旅人』に発表し、さらに書物『死と生の遊び』(魁星出版、平成18年8月)に収録した。 5.平成19年2月にはドイツに出張し、ベルリンの現代美術館、デッサウのバウハウス資料館でシュルレアリスム、抽象絵画への研究をさらに深める契機をつかんだ。
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Research Products
(6 results)