2005 Fiscal Year Annual Research Report
多文化主義としての「アメリカ」研究-文学と映像を媒介に
Project/Area Number |
17520208
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小林 憲二 立教大学, 文学部, 教授 (90092056)
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Keywords | ミンストレル・ショー / ブラック・フェイス / シャリバリ / 黒さ / 創造力 / アメリカ映画 / アメリカ文化 / アメリカ文学 |
Research Abstract |
平成17年度の研究は主要に次の三つの研究発表とそのための準備過程という形で実質化されていた。(1)特別講演「もうひとつの<ルネサンス>-黒さと創造力」(日本ナサニエル・ホーソーン協会第24回全国大会、2005年5月)。ここではホーソーンの文学と十九世紀アメリカの社会や歴史の関係が考究された。たとえば、当時の大衆による街頭行動である「シャリバリ」や「ミンストレル・ショー」などと重ねて、ホーソーンの作品が分析された。(2)研究発表「黒さと記憶と創造力」(多民族研究学会第四回全国大会シンポジウムでの報告、2005年7月)。ここでは、現在の世界の状況あるいは文明の問題点を、文化や文学の方向からどう考えたらよいかということが考究された。具体的には、研究者ホミ・バーバの所論と、小説家トニ・モリスンやシャーリー・アン・ウィリアムズらの作品とが重ね合わせて分析された。(3)「アメリカの文化表現-ストウ夫人とトマス・ディクソン」(立教大学アメリカ研究所主催の連続セミナー「視覚文化論」第二回発表、2005年12月3日)。ここでは、映画を切り口として視覚文化論に関連した考察がおこなわれた。具体的には、十九世紀アメリカ文化の流れを振り返る過程で、「ミンストレル・ショー」や「ブラックフェイス」の検討が行われ、そうした十九世紀の大衆芸能が二十世紀の映画の誕生とその発展にどう影響していたかが、『アンクル・トムの小屋』や『国民の創生』さらには『ジャズ・シンガー』などの分析を通して解明された。
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Research Products
(1 results)