2006 Fiscal Year Annual Research Report
多文化主義としての「アメリカ」研究-文学と映像を媒介に
Project/Area Number |
17520208
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小林 憲二 立教大学, 文学部, 教授 (90092056)
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Keywords | アメリカン・ルネッサンス / ナサニエル・ホーソーン / ハーマン・メルヴィル / アメリカ文化史 / 変容するアメリカ研究 / アメリカという現象 / 越境する文化論 / 欧米とカリブ海諸島 |
Research Abstract |
本年度の研究は前年度に引き続き、十九世紀アメリカの文学と文化にあらわれた諸特徴を、アメリカの「政治と社会」と関連づけて分析・考察・記述することにおかれた。具体的には、第一に、アメリカン・ルネッサンスの代表的な「文人」ナサニエル・ホーソーンの1840年代〜50年代にかけての文学活動を、その時代の動向と関連づけて浮かび上がらせることに努力を傾けた。次に、欧米の「正典」たる文学と思想がいかにカリブ海諸島の文化・文学・思想と裏腹な関係にありながら、その関係性を消去しているかといった歴史的実態をあきらかにしようと意を注いだ。さらに三つ目の作業として、「変容するアメリカ研究のいま」を概観するとともに、他の研究者との協働の作業において、その実証化に取り組んだ。 本年度の成果に関しては、「ホーソーンとその時代」が代表例にふさわしいと思えるので、以下にこの論文の 章題を示しておく。1.旧牧師館の新婚生活 2.ホーソーンのロマンス論 3.ホーソーン作品の「特異な」位置 4.「ロジャー・マルヴィンの埋葬」の多義性 5.「若いグッドマン・ブラウン」の<分かりにくさ> 6.「アメリカ文学」創造という使命 7.ホーソーンの政治性 8.メルヴィルとホーソーン 9.『ニッカーボッカー』対「若きアメリカ」 10.ニューヨークとニューイングランドの対立 11.シェークスピア劇上演と民衆暴動 12.初期「ジムクロウ」のもつカーニヴァル性 13.「ジムクロウ」から「ミンストレル・ショー」へ 14.『七破風の屋敷』をどう読むか。以上。
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Research Products
(4 results)