2006 Fiscal Year Annual Research Report
現代ケベック文学が映すマイノリティ性を核としたトランスカルチュラリズムの伸展
Project/Area Number |
17520213
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
真田 桂子 阪南大学, 流通学部, 教授 (60278752)
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Keywords | カナダ仏語圏文学 / トランスカルチュラリズム / 移動文学 / 文化研究 / ケベック詩 / ジャック・ブロー / マイノリティ性 / マルチカルチュラリズム |
Research Abstract |
当該研究課題について、すでに拙著『トランスカルチュラリズムと移動文学-多元社会ケベックの移民と文学』(2006年3月、彩流社)第II部第8章で論じたように、ケベックにおけるトランスカルチュラリズムの伸展においては、ケベック社会に深く刻印しているメンタリティーとしてのマイノリティ性が大きな要因として働いていることを解明した。とりわけ、ガストン・ミロン、ジャック・ブローなどケベックを代表する詩人たちは、抑圧されたフランス系の人々の内面を鋭く映し取ってきた。従って、ケベック文学におけるマイノリティ性を明らかにするために、本年度はまず、ミロン、ブローなどの詩の読解を中心に、ケベック詩に現れたマイノリティ性の解読を試みた。そのうちジャック・ブローの『はかない瞬間』の詩篇についての解説と抄訳を行い、阪南論集・人文自然科学編、第42巻第2号(2007年3月、阪南大学学会)に発表した。 また本年度は、2007年3月にケベックに出張し、ケベック学大学相互研究センター・モントリオール大学支部を拠点に研究課題に関する最新の動向について、資料収集と専門家との意見交換を行った。滞在中、モントリオールのコンコルディア大学で開催されたトランスカルチュラリズムに関するシンポジウム「Diversite culturelle et transculture ou Vice Versa - Qu'est-ce que la transculture aujourd' hui?」についての研究発表に関する資料を入手し、最新の動向について関係者との意見交換を行い新しい知見を得ることが出来た。ケベックのトランスカルチュラリズムは、移民のケベック社会へのさらなる定着と混清に従って、新しい展開をへて社会の変貌に大きく寄与していることが明らかになった。この成果については、2007年9月に行われるカナダ学会年次大会において、「マルチからトランスへ、-トランスカルチュラリズムと新しいコスモポリタニズムの可能性について」(発表登録済)として研究発表を行う予定である。
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Research Products
(1 results)