2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520214
|
Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
高梨 良夫 長野県短期大学, 多文化コミュニケーション学科, 教授 (50163225)
|
Keywords | エマソン / 朱子 / 超越主義 / アメリカ・ロマン主義文学 / アメリカ思想 / 新儒教 / 中国思想 / 比較思想 |
Research Abstract |
本研究の課題であるエマソンと新儒教の比較思想的研究を行うために、以下のような研究活動を行い、研究成果を得た。 1.勤務校の休業期間などを利用して上京し、東京大学総合図書館などで、エマソン、朱子、王陽明、アメリカ超越主義、新儒教、中国思想などに関する研究資料を収集した。また比較文化・思想の研究会に定期的に出席し、アメリカ文学・思想、イギリス文学・思想、ドイツ文学・思想、宗教学、中国思想、東洋思想研究者等と、本研究課題に関連する問題について意見交換を行なった。 2.夏期休業中には、在外研究員としてアメリカ合衆国ハーヴァード大学・イエンチェン・インスティチュートに滞在し、イエンチェン図書館、ワイドナー図書館、神学部図書館などで、エマソン、朱子、アメリカ超越主義、新儒教、中国思想などに関する研究資料を収集し、アメリカ文学・思想研究者達と意見交換を行い、さらに研究論文を執筆した。 3.研究課題のなかでも、主として、「格物致知」と"Correspondence"、「敬」と"Moral Sense"、朱子の性善説とエマソンの"Moral Nature"、朱子の三世因果説の否定とエマソンのカルヴィニズムの来世観の否定、儒教の「福善禍淫」とエマソンの"Compensation"、日本におけるエマソンの受容、中国と日本における新儒教の形成と展開、新儒教とエマソンなどのテーマについて考察した。特に朱子の性善説とエマソンの"Moral Nature"、両者の現世中心的人間倫理観についての研究は論文にまとめ、『長野県短期大学紀要』に掲載した。朱子もエマソンも共に、人間の善なる本性の基盤を宇宙万物の根源に求め、また現世中心の応報思想を展開し、自然の法と人間倫理の法の間に相関を見出し、自然界、精神界の内在律的な道徳秩序を合理的に保持しようとする働きを信頼する傾向が顕著に認められると論じた。
|
Research Products
(1 results)